伏臥位ふくがいは有鱗目のエソロジー イグアナ亜目オオトノゴモリ
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世の全て厭わぬフリをしているというのに左の耳よ 謀反か
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ふにふにのほっぺが可愛すぎるから唐揚げにして食べちゃおうかな
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この夏の日焼けと傷を制服の下でひっそり飼い始める日
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ピカピカの秋刀魚さばいて三枚に 食す家族の笑顔想いて
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眠れずに昔の歌を口ずさむ 現にしたい夢もないまま
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なにごとも選べぬ吾にぎこちなく老扇風機は首を振るのみ
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「推し」が好き 貴方が生きてるだけで好き 貴方の輝きが私の主食
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貸りていた教科書の隅「バカ」と書き笑い合った日 忘れずにいて
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飲みかけで君が置きたるコカ・コーラ ベッドの下に置き去りの夏
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北東の空にたなびく五重線 楽譜詠めない今が悲しい
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強くあれ 人と争う こともなく 優しいだけじゃ 本望遂げず
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検診に 行く前だから 緊張し 眠れないのか 情けないやら
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罪のため 人に触れ合う ことさえも 恐れていれば 善も遠のく
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ひっそりと 貧民窟の 佇まい これでいいのか 我が道なのか
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新しき 世界を広げ 挑戦に 満ちた人生 歩めるはずが
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自らの まわりに築く 塀のため 世界は狭く 視野も限られ
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持ち物を すべて調べて 武器にする 何か忘れて いないだろうか
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いじければ 全てのことが 色褪せて 正しいことも 曲がって見える
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君の為つけたピアスを揺らしても なぜか寂しくなるだけなので
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おはぎの味がしないのは残暑とは違う汗の記憶が濃いから
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ラーメンの脂に映える照明の明るさにふと天井仰ぐ
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夥しい「出会わなければよかった」を載せて地球は縮み続ける
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郊外のイオンは膨張を続けやがて街ごと呑み込むでしょう
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変わり目の寂しさよりも気兼ねなくチョコ菓子買って帰れる涼よ
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抱きしめた熱は日焼けの跡に似て 向日葵たちが枯れても好きだ
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終わりゆく夏の気配を分かち合う孤独なおばけは木陰に溶けて
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眠い目を こすりてみても 幻は 人を誘いて 消えて現れ
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黄昏て 欲も希望も 枯れ果てて 生きているのが 哀れに見える
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女々しいと 女に振られる 元となり 頼りなければ 男も好かぬ
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