女湯のサウナは今日も健やかな憎悪によって保たれる平和
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体温たいおんに似た水滴なみだをどうか笑って 幾許も打てぬ態音たいおん
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汗みずく真紅の日傘なげすてて横スクロールゲームピコピコ
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悪臭がただよってくる「文芸」の棚で立ち読みする自分から
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結局は君が嫌いだってこと 憐れ憎しみ、戸を叩く音
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「死ねばいいのに」と言葉を飲み込んで 他人ひとには告げず膿が溜まって
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シナプスにことばの事故を繰り返し 言語野をく熾火がともる
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影にさへ光もとむや水芭蕉野辺の不軽の光背白し
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二病ふたつの輪廻 今世も逢おう違わぬ呪詛主鎖で
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泡末夢幻ほうまつむげん 霧氷耽溺むひょうたんでき 臓の底から誓うか胡蝶の奇譚を
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パニエの残骸を抱いてしまう 零時の短針は灰にも這うのか
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それもそうだね 残渣ざんさが恋人の一言になる訳もなかったよ
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花束の小骨ばかりを集めてた もう渡れないオーロラの端
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笑うのが難しくなる夏がくる そうとは知らず笑顔がきれい
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あわれみをおほえてしまう 雨の日とマシュマロひかるはれのひと
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宇宙塵軌道に満ちてバーニアの裂けて明日はどこに降りよう
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きっちゃてん その言い方が可愛くて 温んだ珈琲空席に置く
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見返りがなくても君が好きだから「愛してるよ」と初めて言った
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梃子になりますと挙手する腕 度々しなやかに泣かせている
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「生き急げ、恋は刹那」と駆けていくあなたの背中抱き寄せたくて
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鬱の波うねりて宙をひと呑みし水色の街ちひさく光る
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うす紅をおおふことにて粋まとふ鹿の子百合ありうすく羨む
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此の猫は右利きなるやいつもいつも右前足をぽこり差し出す
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人生に解の公式あるのなら答えは一体いくつあるのだろう
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夢うつつであるがためにと放った丸 罪の匂いがしておりました
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一瞬の身震いをした蝶々ちょうちょう 指から離れひらひらと舞う
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夢の中許し合えて溶け合えた 夏なら狂気に成らなかったのに
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「山手線で今日のところは帰ります」密造ごっこの続きは夜に
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七月の十六日にカレンダーやっとめくった今日は海の日
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暗い部屋スマフォが机上でただ光るキャンプに行きし気分になるらん
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