テレビでは初冠雪と山映し一斉に盛る日向のとんぼ
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秋寒波 思わず作る寄せ鍋で 季節の変わり とくと感ずる
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秋と謎 共に深まる午後の5時 事件も外も闇につつまれ
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僕ですら呆れるほどのつたなさをかわいいと言うランドセルの君
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書き溜めたレシピの一番下にある ねずみのカステラ やまなしの酒
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寝てる間に どこで何しているのやら 生死の別も自分は知らん
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降られつつ吹かれた傘は踊りつつ 傘もつ人は踊らされつつ
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窓越しに 揺れ動く身を背に預け人垣避ける 小春日の影 
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継がすなら仕事の出来る娘婿 社長も秘書も倅嫌われ
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胸熱くさらば昴よ我は行く旅立ちの唄 我も仕事へ
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防寒も兼ねたマスクになりにけり 今朝は一気に十三度とは
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「触るな」を核とし析出されてゆく結晶として「私」はあった
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樹海しんりんの入り口にある死者たちの恋人を知る公衆電話
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Yシャツのポッケに眼鏡をぶら下げた君が読んでる岩波文庫
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ファンならば絶対欲しい一冊!と思えど買えない ・・・ファンじゃないから
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神様は御国にその子を招きしか 幼き命失われたる
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業績にしない搾取もしない ただまずは聞くただ応じて動く
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あなたには優しい笑顔だけ向けたいだから涙は見ないふりして
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TVの歌番組がナツメロ化 クラシックってのもナツメロばかり
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定期券 ICいかれて無反応 人の改札 通る秋の瀬
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解きかけの宿題のつづき書くために 時を駆けまた産まれてきたんだ
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くだらないお菓子についたオモチャでも 誰かの手足が作り、運んだ。
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誰一人 勝手に産まれた者はなく 人の間に この体あり
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僕と君 声も形も違うけど おなじ気持ちになれる不思議だ
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血液は新幹線より高速にホットコーヒーの熱を届ける
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これまでも一人で歩んだ道じゃない これからもいっぱい助けてもらえよ
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つかれたら少し休めよこの先はまだまだ長い君の道だ
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片思いだけどわたしはこんなにかわいい 両思いなら破滅的だわ
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交通系IC使えぬ 故郷ふるさとの駅は無人になったそうだよ
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隣家から響くピアノの音に揺られ 橙色の星降らす枝
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