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くたびれし頁の余白にひそみつつ意味をころがす歌のことのは
3
きょうからはひとりぼっちの夜だから無音でおどるハンドスピナー
3
口煩いネコをレンジに放り込み ドローンにして彼方に飛ばす
3
マリファナの響きに色めく乳幼児 こむら返りは熱帯の夜
2
ヨルガオのふとした涙に背を合わす 錆びたフェンスが忘れえぬよう
1
項垂れる首刻々と色褪せて 去らぬ様にと陽射しは背を責め
0
罅割れた土 戯れに水をやる 少女に還ることのない花
1
髄液の底で揺蕩う霧状の記憶を求めて画面をなぞる
2
たおれゆく琥珀が燿う箱庭で 足を持たないトルクが響く
0
抜け落ちた前頭葉とZ軸へ肥えてゆく赤茶けた輪郭
0
傷のない卵殻の中 よく喋る都市を少女は片手で統べる
3
痩せこけたまなぶたの下 よこたわる粃 静かに背中をみつめる
1
骨ばった指を蝕む
蔓草
(
)
の先で腐臭を撒く合弁花
0
「寂しい」と最近君は繰り返す 横に居るのに「寂しい」と言う
2
真砂土
(
まさつち
)
の押し出してなお山青し 踏み越えてゆけ 踏み越えてゆけ
4
背にのせたおやゆび姫の吐息さえ奪えぬ旅よツバメ天飛ぶ
3
あゝしまった君との喧嘩「ごめんね」のその四文字があまりに遠い
2
にじいろの無限の綾をひも解きて
堂廻目眩
(
ドグラ・マグラ
)
の夏に分け入る
3
透明のグラスでカラカラ音を立て兄と一緒にカラダにピース
2
瞼にはもう戻らない夏の庭 ホースの水にはじける光
5
灯台より世界を見わたすつもりにて鴎とび立ちただ旋回す
3
やはらかき花びらに眠る記憶にはおやゆび姫の吐息のほのか
2
ポケツトに億光年を秘め持てる小石を鳴らしをのこ走れる
4
二度寝して余裕を感じて三度寝を敢行したらもう九時前に
1
二文字朝靄二句だけはきだして
漣
(
さざなみ
)
に言えども
槌
(
つち
)
刺すも
0
オキーフの画は神々しくも懐かしく胎児の記憶ふと呼び覚ます
2
浅い眠り 独り占めしたくてダブルベッドなんか買ったんじゃない
0
「
哀
(
かな
)
しみに心のうぶ毛で応えよ」と中井久夫は言ってたらしい
5
哀
(
かな
)
しみにいつもうぶ毛で応えてる いつの時でもそれしかなくて
3
三日後にサルバトーレの姿なく 君が勝手に助かるんだよ
3
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