くたびれし頁の余白にひそみつつ意味をころがす歌のことのは
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きょうからはひとりぼっちの夜だから無音でおどるハンドスピナー
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口煩いネコをレンジに放り込み ドローンにして彼方に飛ばす
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マリファナの響きに色めく乳幼児 こむら返りは熱帯の夜
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ヨルガオのふとした涙に背を合わす 錆びたフェンスが忘れえぬよう
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項垂れる首刻々と色褪せて 去らぬ様にと陽射しは背を責め
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罅割れた土 戯れに水をやる 少女に還ることのない花
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髄液の底で揺蕩う霧状の記憶を求めて画面をなぞる
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たおれゆく琥珀が燿う箱庭で 足を持たないトルクが響く
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抜け落ちた前頭葉とZ軸へ肥えてゆく赤茶けた輪郭
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傷のない卵殻の中 よく喋る都市を少女は片手で統べる
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痩せこけたまなぶたの下 よこたわる粃 静かに背中をみつめる
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骨ばった指を蝕む蔓草の先で腐臭を撒く合弁花
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「寂しい」と最近君は繰り返す 横に居るのに「寂しい」と言う
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真砂土まさつちの押し出してなお山青し 踏み越えてゆけ 踏み越えてゆけ
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背にのせたおやゆび姫の吐息さえ奪えぬ旅よツバメ天飛ぶ
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あゝしまった君との喧嘩「ごめんね」のその四文字があまりに遠い
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にじいろの無限の綾をひも解きて 堂廻目眩ドグラ・マグラの夏に分け入る
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透明のグラスでカラカラ音を立て兄と一緒にカラダにピース
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瞼にはもう戻らない夏の庭 ホースの水にはじける光
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灯台より世界を見わたすつもりにて鴎とび立ちただ旋回す
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やはらかき花びらに眠る記憶にはおやゆび姫の吐息のほのか
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ポケツトに億光年を秘め持てる小石を鳴らしをのこ走れる
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二度寝して余裕を感じて三度寝を敢行したらもう九時前に
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二文字朝靄二句だけはきだして さざなみに言えどもつち刺すも
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オキーフの画は神々しくも懐かしく胎児の記憶ふと呼び覚ます
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浅い眠り 独り占めしたくてダブルベッドなんか買ったんじゃない
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かなしみに心のうぶ毛で応えよ」と中井久夫は言ってたらしい
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かなしみにいつもうぶ毛で応えてる いつの時でもそれしかなくて
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三日後にサルバトーレの姿なく 君が勝手に助かるんだよ
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