安心と安全便利に囲われて、もう涙すらない乾いた大地
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かりそめに染まった後悔、涙満ち、骨を軋ませ笑顔に会いたい
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もうすぐでからっぽになる砂時計ひっくり返す?それとも壊す?
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車窓より見える桜のつぼみから毎朝感ず春の訪れ
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気を抜けば人の形をたもてない死ぬほど普通のフリして耐える
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卒業で後輩からの花束を見つけて慌ててコップに生ける
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唐突に終わりにすると言われてさ 氷雨ひさめで落ちる桜のように
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溜め息の似合う空だないつまでも思い巡らす後悔もあり
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滝の脇の巨岩の上にあ、四匹の山猿がいる俺を見下ろす
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ぬばたまの帝都の夜に怪人と名探偵が知恵比べする
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二刀流信じられない凄すぎて自身はすでに脱二刀流
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回覧板持って行く度近況を問い正されるなぜなんだろう
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溜息で風車を回す悲しみを喜び変える再生エネルギー
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友達が「告白うまくいったよ」と私の胸に飛びこんできた
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高騰の鶏のひき肉見切り品酒炒り冷凍復活をする
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見てみれば引き出しにつく取っ手さえ見つけられずに乳白の濃し
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コンビニを三店はしごしておにぎりを一つづつ買い家に帰る 
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「『石給いしたまふ ブベミラか』って、何のこと?」「ASEANアセアン諸国、暗記中なの。」
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日曜の夜の孤独を持て余しいつもは行かないコンビニに行く
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会えないとわかっているがきっとって最後に言って自分もだます
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三月に季節外れの雪が降り苦しいなんて溶けちゃってくれ
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晩酌の芋を転がすどうすればいいのかなって考えながら
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普段では会えない人を引き合わせ見届けたあと散る桜花
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生きていていいって桜が言っているような気がしてごめんなさいね
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コンクリのあの湿った地下へ降りてゆくそのひとときが一日の幸
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古傷をホワイトリカーに漬けていて飲み干すための味見をしてる
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早朝に思いめぐらせ窓を開け冷気を感じ花まだ咲かず
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山村の荒れ田の中の里桜しづかに咲きてしづかに散りゆく
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冬のため 人の気持ちは 遅れ気味 季節の速さ ついて行けずに
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すでに花 若葉が出れば 春来る 人は遅れて 春を感じる
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