月を指先で摘んでいる君の 眩しそうで変なウインク
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あの場合ああこう言えばよかったか言葉 るあとの祭りで
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昼飯を食わせなくちゃと急いだが既にとんでもないの食ってた
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ワイシャツが物干し竿に肩回し俺の代わりに文句や愚痴を
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学校に行かない子だって髪を切る 隣家の床屋話も聞く屋
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一時間半も走れば春になる長靴脱いで革靴になる
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珈琲に溶けゆく白よ この傷も癒えて私の色を変えるか
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通り雨なければ君と出会わずに静かなキスも交わさなかった
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ビル群の下にうずまる幾千の化石のうちの一つになりたい
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教室の隅に天使の絵があって 今日もどこかで人が撃たれて
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使えない機械を見る目で撫でられて機械でいたい壊れていたい
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俺の首切った社が載る求人誌破いて捨てたが職どうしよう
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「幸せは何だと思う?」「好きな人とごはん食べてるときじゃない?」君が正解
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意味なんてもともとなくて意味づけることが大切どんな過去でも
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死んでもさ誰かの記憶に残るなら生きてた意味はあるんじゃないの
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香り立つ珈琲飲みつつ気になってフェアートレードの意味を調べる
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さみしいと言えばいいのに行政に助けられてるなんて強がり
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雪模様 今日は休日パスタ茹で ソース選びは君とジャンケン
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『オムレツがうまく焼けたから今日はいい日』 君が言うからそうなんだろうね
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ウクライナ 攻撃受ける この頃は ロシア狂った 暗黒時代
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春は嫌 桜の下で終わらせた予測違いの非情な運命
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魂はゼロ・ポイント・フィールドに帰るのか とりあえず今を生きよう
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いづれをか花とは見まし春日野に若菜摘む袖消えあへぬ雪
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宿占むる園生の竹のよを重ねややふし慣るる鴬の声
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梅の花香る軒端は多かれど去年こぞの鴬宿を忘るな
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さえし夜の霜かと見ゆる梅の香に霞みもはてぬ春浅き空
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生ゴミの日に姑を出しちゃった若奥さんの可愛い失敗
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もうこれで終わりだろうと一週間くらいチューブを絞り出してる
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昼の麗らかさ 訪れる微睡み 優しくて 春の予感がする
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自分が一番不幸じゃないと許せないのね わたしもそうだよ
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