洗濯物干しつつ涙あふれ出す乾かしてくれこの水分も
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寒くなり 夫が炬燵と浮気する しょうがないから 湯たんぽとねる
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新しく箱ティッシュ出した私えらいって日記にかいていいかな
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もうすぐ春と 微笑む君はどこへやら 恨めしそうに鼻水垂らし
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この思い出一体何で出来ている? 砂糖と寒天、告げない言葉
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ひとりでも平気でいられたはずなのに きみの手形がのさばっていく
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忘れてた 2月に届いたレターパック 速達のチョコ たぶん美味しい
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桜にも恥ずかしがり屋がきっといて今か今かと散る時を待つ
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開いた口に放り込まれた指先と同じ温度の蜜柑ひとふさ
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猫と猫おんなじ東側向いて鳴かず眠らず欠伸もしない
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むめがえに咲きぬとみえし花のいろ なごりの雪の烏帽子なりけり
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ひかりと共に、はるなつあきふゆ
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女学校 私は首席 さてさて今は 認知確かに 未だそのつもり
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幼子に我が娘を重ね慈しむ。 想いは秘めつつ、今日も独り
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嬉しくも悲しくもなし卒業は 落ちた涙をズックで消し去る
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羨まし 君が押さえる動脈も 我が身と言えど妬心を隠せず
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夢なんてそんなにいつもないけれど望遠鏡に「夢」と名付ける
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この匙とおんなじものがもう一つあればと思ういや思わない
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恋心 水に揺蕩い 流れ惑う けれど止まらぬ 鯉心
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ペットボトルのラベルを剥く時の手が優しいところがあなたの美点
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一つ見て 二つ見ては 枯れ葉かな 逸物のボサの心に父の愛
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ぼんやりと歩く通勤路 ビニール傘越しに翳りゆく過去
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桜の花が散ったらいなくなるあなたは春なんですね、せんぱい
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教室でハズレ扱いされていた薄荷キャンディみたいなわたし
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耐えるため切り吐き抱かれて酔い射った君と同じさ言葉を飲んだ
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いつの間にこんなにちいさくなったのか 遠ざかりゆく祖母の背中は
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青春は夢とおなじだ ピンボケで目覚めた順に消えてゆくだけ
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わが世をば思ふさまにて生きたかり子といふものはなくてありなん
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父だった人から届く売り言葉 買わずにおいてよかった日よ来い
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懐かしい香りの風にため息を 柚子の大馬鹿 よく言ったもの
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