「メリクリ」から「あけおめ」までの一週間 昔はもっと長かったよね
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まだ誰の足跡もないところだけ 選んで歩く初雪の夜
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梶取りが成功したね船長は坂本丸に若い岡本
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幸せは歩いてこない 爆速で僕の真横を素通りしてく
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耳にはジミヘン迎えて朝過ぎ。片手に珈琲、片手に時間。
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ひさびさに足を通したスラックス 安物だからすぐに縮むわ
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うしなった時間の刃ものシンプルに少女ひとりの重さで刺さる
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鉛筆をゆっくりゆっくり尖らせるこれは歯の代わり爪の代わり
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たのしいこと そんなのなくても いいのです このくるしみを なくしてください
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苦ですよ、苦 僕にとっての 今年の漢字 いや、毎年ですヨ 苦ですよ、苦
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欲しいのは熱量[J]よりも暖かさ 夜空に吸われて一人きり
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結び目のある紐であやとりをする あの子のことはなんだか苦手
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霧かかり 音も途絶えた この時に 常世とこよ 隔世かくりょを 分かつ倒木
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躁と鬱 踊り狂った 僕を見て 分かるわかると 芒すすきが笑う
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新しいパソコンが来て古いやつ拗ねてもう立ち上がりもしない
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ラジオから流れし歌は愛の歌思い出すのは二番目の彼
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剥き出しの心で生きてゆくのには 世界はずいぶん寒いだろうに
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不確定、機械の呻き、周期π 共振増幅飲み込む光
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棘のない薔薇をおくったあのひとの優しさで刺されて血が滲む
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アスワンはハイハイダムで元気だよ満杯くるよ明日ゆめ盛るよ
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あなたはねすぐ飽きるわよ私の事好きだ好きだとゆうけれどもね
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赤色の端子を刺した剥き出しの脳で美を詠み死を探求す
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「急がなきゃ。インターネットが呼んでいる」 (ばあちゃん惜しい! インターホンだ)
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ため息をつく口実が必要で 辞めてた煙草にまた火を灯す
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劇的にドラマチックに生きている虚像の君を幾度も殺せり
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立冬にひたすら立ちつ案山子なる 冬将軍と闘うつもり
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リキュールの 苦味も知らぬ 少女らが微笑みながら仕込んだタルト
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憑き物を 落とそうという心持ちで この青の紙に 歌を詠みます
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凜々と響く空風の和らぎは寝床へ急かす母の声かな
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七五調なら詩にできた、と嘆いてる語呂の悪い独り言の主
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