ただ悲し 五輪の穢れ 文庫屋カドカワも 草葉の陰で 秋燕しゅうえん
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あなたの傘に入ってる残りの三人の人が羨ましくて
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パクチーを好きな自分が好きだけどパクチーもたぶん僕のこと好き
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無駄だから無意味だからと消していけば、六個目くらいに自分が消える
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私より彼女を好きになったこと恋が終わって おかえり息子
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晴れてるしビルの森から抜け出して空の広さを確かめに行く
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扇風機片付けそびれる生活が桜を吹雪に喩えたりする
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港区に住民票のある方と狼男が対象となる
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空を飛ぶだけでいいのに実際は橋下先輩などが出てくる
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終点の駅の窓から駅長が双眼鏡で見てるキツツキ
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裏側の闇を陽気な餅つきのうさぎで月はカモフラージュする
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地上にて 足りない者は 補われ 豊かな者は 奪い去られる
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金持ちは 天に入れず 追い出され 貧しい人は 慰めを得る
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されど今 君に出会いて ほっとする 貧しいゆえに 理解し合える
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人間は 生まれ落ちたる 星の下 貧乏長屋 ビバリーヒルズ
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誰か来て こんな不憫な 人達を 救ってほしい なぜか叶わず
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不幸だな 君の話に 涙する そんな自分も 不幸だったな
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過ぎてゆく夏の墓標として麦茶ボトルは減らず静かに冷える
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夕暮れと夜の境を通知するような一番星の哀愁
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ブローチのように麦わら帽子へとトンボあなたを風景にして
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教会へ差し込むひかり穏やかな虹を編みゆくステンドグラス
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幸せな 人を見る時 ふざけるな と叫ぶ自分 に恐怖を感じ
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無理してる 君の言葉の 奥底に 深き悩みが 横たわってる
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よく話す 君の声聞く この時間 至福の時か 危うき時か
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勇気持て 神が導く 細き道 危険に満ちた この世の旅路
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虫の音の聞こえくる庭 蚊遣火の煙ながれて夏ひきもどす
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検診を終えた体は掬われていつもの日々に放されていく
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この野原 歩きし人のたおれしか 踏みあと道に草生い茂る
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水匂う両手のなかの海さえも漣打ってやがて涸れゆく
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校門がいつでも空いてる我が母校校庭で寝る孤独を感じる
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