あなたとね はじめて会った春の日は 夏かと思うほど暑い日で
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食べて飲み込んで一分遅れた時計の針を見てさぁて始めよう昼休み
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遠い夏 波にこわれたさくら貝 届かなかったうすべにの恋
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聞き慣れぬ虫の声に寄せられて網戸開けたら犬も顔出す
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みなそこで好きと言いたいさけびたいすべてがあわになる水底で
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首をいたわるためだけにパソコンの下に三冊積む積み本よ
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ガクチカをたまに見かける宇宙食パウチみたいに拾い上げてる
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友を見て知らぬは恥と言い切れぬ額田王〔がくたおう〕とはどんな王かと
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ものみなに終わりがあるよ 人類の終わりはたぶん 子育て不能
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レジ横の衝動買いを後悔す 七十円引き七十円かと
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工場の資材置き場に虫の声 迷いこんだか秋の訪れ
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右の靴同じとこだけ穴があく ガムテープ貼りアクセルを踏む
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赤線と付箋の入った教本が今年も会えぬ祖父より届く
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懐かしい先生の名を耳にする 上が通いし園に挨拶
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キャンパスを明るく照らしし猫たちは今も美空に皆を見守る 
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君にとってのお金でいたい 無くては生きられないもの 大切なもの
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邪魔者でうざいうるさいおせっかい、検索結果もしかして『彼氏』
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午前二時 光轟く 土砂降りが 咳に苦しむ 慰めとなり
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秋雨が 強く降るなり 帰り道 先の梅雨より 激しく感ず
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依存依存言われ続けて曇天を見上ぐ眼裏まなうら一面のあか
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眠らない夜をいくつも過ごしてるおやすみおやすみ小さな私
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人の住む場所には白く葛の芽のように萌え出る権力があり
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こころ泣く心解ると言いし君先に逝くよと教えてよ君
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秋よ来い 誰しも淋しい秋よ来い そしたら君は僕を思い出す
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想い出が記憶のキャパを超えてゆく でもどうしても君のことだけは•••
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春過ぎて 麗らかな風に吹かれるは 冬木の幹と さまよう落ち葉
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届かないものを望んだ罰なのか 向日葵の枯れゆく無惨さよ
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鶏一羽しめることさえなき輩 まいうまいうとはしゃぎて騒ぐ
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少子化の原因如何に?人問えば 長生きなりと即答すべし
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波音を聞きつつ浜を逍遥す 働くことは性に合わない
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