哀しみと切なさと愛を材料に春のレシピを作ってみました。
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未だ見ぬ夢にまで見た贅沢は カニの甲羅に入ったグラタン
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ままならぬどうにもならぬ出来事はチャッとまとめて宇宙にポーイよ
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短歌とは心の部屋のインテリア ひらめき 歌へ変えて眺める
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死に方を選ばせてさえくれないくせに なにが「死に様は生き様」じゃ ハハハ
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この街で暮らしていこうと思えたら 世界のどこでもふるさとなのだ
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さらばいざ 心の奥のふるさとは いつも厳しい地吹雪の中
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そうだった あの日も雪が降っていた 静かに積もってゆくだけだった
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失った故郷をこの手に取り戻す 中古ゲームを百円で買う
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必要とされたいなんて思わない 雪明かりばかり 遠い祝福
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愛ゆえに、愛ゆえにって言うけれど チクショウそんなの愛なんかじゃねえ
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ああ憎い、憎いと醜い感情は 抗い難いと肉食い思い
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「大嫌い」それは大好きの裏返し その理論ごとお前が嫌い
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走るしかない走るしかない走るしかないと言い聞かせて走れ
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のんびりと毛づくろひするまどぎはの金色の毛の猫になりたし
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潔く散る花を見て泣く誰かあれは君だね美しい君
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嘘ばかり、あなたのいない人生なんていらないもはや私ではない
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私らしく生きてゆきたい、私とは一体なんだ何だったんだ
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こんなことなら出会わなければよかったこんな苦しみ知りたくなかった
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食べ終わり さばあぶらと米油 鍋の白地にまだらの黄金こがね
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道草を踏みにし陰のダンゴムシつと丸まりて転びゆくなり
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わたくしの怒りも恥も悲しみも拭い去れるはただわたしだけ
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草の芽の萌ゆる青さを思うとき 明日への希望もちて目覚める 
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その恋を方程式に当てはめた。B問題だし解けやしないのに。
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震度六ゆれてこなごな姿見のひかり危き水無月のあさ
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ぽたぽたと深紅が落ちて思いだす廃病院に咲いたサルビア
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イキるとは 今あるものをまだないと思えるもので変え 生きること
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コーヒーのカップにスプーンの音たてて 遥かな星の吾子まで届け
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三本の飛行機雲は伸びてゆく真青の空よ郷はまだ冬
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戸田恵梨香見るたび君を思い出す似てるところは口元だけど
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