誰にでも見たくないものはあるものあなたはひとつ煙を吐いた
1
いつからか取り除きたいこの気持ち値段シールの粘着は残り
3
箸落とし拾ってあげてまた落とし皺くちゃな手老いた母の手
0
よのなかはあそびをせんとや生まれけんかりがねわたる浮き雲の空
0
春となりお台所も水ぬるくゴム手袋も無用となって
1
鳥帰る笑う山峰後にしてあっけらかんと古沼の広ごり 
0
開けたての煙草のけむの優しさとひきかえにこのいのちあげよう
2
五年前夢をかなえて出ていった知らないひとが残したレンジ
2
時速200kmの白銀光線Solar Ray 網膜ごと眼球焼き潰せ!
1
ただ好きなものを集めてるだけのやつに負けたぼくは言葉をもたない
1
生きてゆくことに押し流されていく もったりもったり静かに泣いて
0
なにも生み出せないわたしに価値なんてないなら最初から価値なんてない
1
雑菌の臭いがしてる 気のせいか オレの臭いか 気のせいなのか
1
旅立ちの子等を見送る校庭の別れ惜しむか黄水仙撓るしな
0
はなむけにみんなで飛ばすゴム風船 大空羽ばたくことも春の夢
0
「離婚したらどっちの名字になるのがいい?」走るボルボの灰皿あふれる
3
漆黒の鞄から出す緑の財布「私らしさ」を取り戻す瞬間とき
3
うまれると知っていましたきみのこと〝 ソレ〟とは別だが気に食わない
1
とおいよる逸れたあの日窓のそと気付けばきみを思って耽ける
1
瑞垣のひさしき世より恋ひそめき妹とへめぐる芍薬の園
0
イライラと鬱とヘイトが臨界し夜空に光る最終電車
2
なにごとにも分けられもせぬ僕たちをきっと歴史は引き裂いてゆく
1
ホームドアはひらいたままの状態となっております雲間のように
3
モノを見る視線 みにくれる僕 確かめながらモノを見つめる
3
/* 君がこの文字を読むころ僕はもういないのだろう あとはまかせた */
1
空を飛ぶ 花弁を鳥と 準えて 駆け出していた 遠い日の春
2
あの人は昔一緒に働いた煙吐くのが美しい人
2
霧ふかきあさの根本中堂にふとくひびかふ勤行の声
0
漠然と面倒くさいが勝っちゃって目を瞑るのも億劫な夜
4
全て捨てまたここから進み出せ僕には何もそう何もない
0