にんげんがこわい、と嘆く君の手に そっとざくろの飴を差し出す
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太陽に 背を向けて立つ 向日葵ひまわりと 僕とは同じ 性分しょうぶんなんだな
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うまい棒食べたら舌に残る味 幼き頃の記憶の残滓
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やっとこさ髪を染めたぜ碧色に 今日から私が海の洞窟
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その森の外にも森があり星を違う名で呼ぶ人間がいる
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なんでだろ君と会えない夏の日は 肌寒くって仕方が無い
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開きゆく花はみだらに炎天下 一夜限りの生きざまを ただ
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玄関に母が寄せ植えしてる花学校帰りの僕に優しい
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尾身会長 やはりあなたの 言う通り 増え続けるの 感染者数
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大雨に 振られて今は ドブネズミ 水も滴る いい男やで
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コロナ禍の喧騒逃れ美しき自然楽しむパソコンの前
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棄民して善人面している人よ 次に棄てられるのはあなただ
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濡れた髪 塩素のにおいとぬるい風 先生の声が呪文みたいね
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振り返り 一年前の 脳内は まるで何を 考えてたん
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怖かった。世界を小さくしたくって、めがねをかける。ケットをかぶる。
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君が幸せであれ幸せであれと希う僕も赦されたい
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夜を呑み黒を湛えてそぞろ歩く明日もきっと雨は降らない
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鞭の根がゆっくり回り先端で撃たれるように痛い恋話
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おれだけが過去形として耳にする誰と誰々の恋の経緯いきさつ
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真夜中のズタズタの心に沁み入る僕の右手にいる山羊の歌
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生きるだけで開いていく傷口にイヤホン挿して輸血する夜
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セミにまで死ねと言われているような暑さが木から降ってきている
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理解より破壊がはるかに簡単にできる世界で出会う不幸よ
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もう二度と戻れはしない時の海今この瞬間を群れなす魚
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君の言う「校歌はちゃんと歌いなさい」ってビブラートまで含んでる?
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すきです、はきこえないふりしたままで混じりあわないふたりでいよう
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えかけた 僕の心の 傷は開き 吹き出すもので 失血寸前
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秋を染め 冬に散った 椛場もみじばに 緑がえて 君を思い出す
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遊ぶ子もなく夏の日に晒されてオブジェとなったパイプの遊具
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君は僕だけを自転車の後ろに乗せて共犯者にしてくれる
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