本当に 手に入れたいもの 遠いから 走って走って もぎ取れその手で
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「初恋」を読みて五年後まだ見知らぬネット恋愛姉妹同士で
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幸福論 誰かにとっての幸せは いつも曖昧過ぎるけど 大切なのは 押し付けないこと
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性欲を古典音楽の旋律で宥めて獣の心を沈める
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知るまいよ 浮かび続けるこの笑みが錠剤たちの産物だとは
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太陽の気配はないが陽だまりが香る寂れたコインランドリ
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偶然に聴いてハマった深夜ラジオ覗いてしまった知らない世界
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五七五きみが切るのはたんかでも啖呵じゃなくて短歌のほうね
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オシャレミュージックの皮を被った呪詛 聴いてるかしら
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点滴の 雫がぽたり 落ちていく 一粒一粒 詰まった幻覚
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窓を打つ雨粒数えて百二十 君は来ないと薄々気づく
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朦朧と 絶えゆく意識の 片隅で 甘い晩餐 夢見ていたい
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分からない愛とか夢とか絆とか誰も教えてくれないじゃない
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東雲にくゆる窓辺の朝の気配を きみの隣で嗅いでいたいのに
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手を洗いハンドクリームを塗り込んですぐまた洗い、を繰り返してる
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真似しても 君になりたいわけじゃない 輝き方を知れる気がして
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君じゃない私に選べぬ色を手に まぶたくちびる この部屋でだけは
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醜さを隠すついでに星ふたつ 目尻に光る君の面影
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「一眼巨人」我が家で「怖い」と言い合へり 「でもユーモアもあるね」皆で「確かに」
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洗い物溜めて計量スプーンですくう深夜のプッチンプリン
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午前4時だれにも見えない呟きと わたしのからだはインターネットに溶けて
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以前より多くの水を飲むようになって煮沸が追いつかない。
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涙にはならないほどの悲しみをそっと吐き出す口笛に乗せて
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との曇り 暗い模様に 傘をさす それでも消えない 傘もつ君が
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綻びは秒針ほどの音立てて果てる時待つ時限爆弾
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本棚の腹が空いた。新しい本を買う、腹八分目まで。
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絵に描いたような肥満児が電車でパンをむさぼっていた
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死刑付き執行猶予八十年、胎内で出た判決でした
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数多く出版されたる本なれど線を引くのはあたらしきかな
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会えない日 離れる時間が なんとやら 愛は深まる? もどかしいだけ
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