ただひとり異物と化した空間で君の奏でる音だけがひかり
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相続になずみ残したきょうだいが想夫恋食う七回忌の夜
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花吹雪 思い出すのは鐘の音と決して届かぬ貴方の背中
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ダサくてもいいよ 青春くださいください 欲するぼください
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もう着くよ外で待っててきみからのふいの電話に飲み干す緑茶
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人間を 物や獣に されぬよう 高貴な願い 捨てるべからず
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苦しみに 打ちひしがれて 眠る前 神の御前に 悩み打ち明け
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いつだって 弱る心を 励ませば 希望の星が 今夜も見える
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逞しく 生きる者こそ 勝利あり 死んで花実が 咲くものなのか
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平和あり 戦争ありて 病あり 健康ありて これが現実
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人はそれ 生まれた星に 違いあり 金持ちもあり 貧しきもあり
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透明な瓶に一本挿しとけばチュッパチャプスも花になるとか
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比較して 正常だとか 異常とか 言ってみたって 仕方がないや
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今の更 他人との違い 悟っても 生きてしまった そういうわけで
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目も鼻も 口も喉まで みんなとは 少し違うね 仕方がないか
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五十年経てば津浪の映像も断り書きが消えるのだろう
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春なれば 内には依然 カビやダニ 外は花粉で 鼻水だらけ
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はじめての硬い肉を食む幼児 顔全体で咀嚼している
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死なないで、誰も、私より早く。 贅沢だねと春が笑った
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ああ あれはウクライナの国旗だと 子供が指さす 町家の軒先
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叫ぶこと音声すべて禁止でも拍手こぶしで届け心よ
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終止符をおのれ憐れむことすべて飯事ママゴトのごときそんな日常
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見てほしくないところまで見た挙げ句 得意気に話すヤな占い師
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「この下に怪物がいます」と書いて覗き込まずに生きる手もある
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夕焼けで触れる程度の「エモさ」をそれでもまだ手放せずにいる
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鼻の奥くすぐる花粉に感謝して君と同じくしゃみができる
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桜の樹枝の先から色づいていつかの君の指先みたいに
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沓の音、身体つ音高らかに祈りは響く達陀の夜
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第三次世界大戦を憂う間にショートカットになりにけり 夏
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走馬灯みたいなエンドロールに名が流れた順に全員殺す
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