青春はあの教室に置いてきた 一度も味わうことのないまま
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パチパチとホチキスが鳴く居残りで ぼちぼち告白今がチャンスだ
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ふと灯る吾が恋心熱く燃ゆ アイの炎は藍より青し
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ここよりも高いところはもう行けない 夢も理想も捨てて飛びます
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愛憎を灼けたヒールで踏みしめて今夜ひとりでワルツを踊る
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引っ越して未だ馴染めぬ商店街独り者には賑やかすぎて
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週末に逃げ込むための毎日で徐々に心が死んでいく音
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学生が慣れないスーツで右往左往終わりの見えない椅子取りゲーム
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遠雷を聞いた夕暮れふたりきり 帰れないねとどっちが言った?
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きみが挿すあじさい色の髪留めを揺らし鳴らして吹いた黒南風
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「散歩だよ」言えば嬉しさ滲ませて尻尾を振ってる犬と恋人
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真夏日にポカリスエットくれたきみ その微笑みでぼくは熱中症
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振り返る別れの坂道見上げたら君の背中が少し泣いてた
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「好きです」のすの口のまま先輩を見るすっぽんは満月の下
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レンチンで溶ける氷河期にいたいね私たち
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スコールがカーテンのように降りしきり傘もささずに駆ける人々
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ぐずついた天気のように不機嫌があなたへうつり泣きたくなるよ
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はつなつの木蔭にすずむかりそめのこの世はなべて異郷と思ひき
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飽きるまで痛くなるまで眠るまで朝になるまで好きになるまで
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どちらとも受け取れるよう謝ってからキスをする ごめん、夏だね
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明日からは向かい風吹く1番ホーム 己だけでも立てるからねと
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重さへの耐性は徐々に失せていくだからこれだけ 若くはないから
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友がため惜しからざりしなんとやら重いのはもう充分だけど
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砕けちる自分をかき集めてくれたそうとは知らずにそうとは教えず
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まろび出る笑い声このイヤホンでひっそりと聞ける贅沢な日々
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ひとりきりふた月み月暮らせたの君の通知が毎日鳴るから
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ファンタジー 宝くじでも プライドと 偏見持って 泡沫バブル見せてよ
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若さでしか できないことよ パワープレー ドーピングして 反省して
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本当に 手に入れたいもの 遠いから 走って走って もぎ取れその手で
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「初恋」を読みて五年後まだ見知らぬネット恋愛姉妹同士で
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