漱石があんなことを言ったから「月が綺麗」と言えなくなった
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がたんごとんゆられゆられてどこいくのだれもしらないまちへいくんだ
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普段ならあなたに分けてあげるけどこれはだめなの雪見大福
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東空ひがしぞら燃ゆる炎 また一つまたたきながら消えゆく星よ
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炎天下アスファルトに ぽたぽたり染み込む汗の濡れ羽色なり
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曇天の空の重さは如何ばかり ナラトド沈む野付の荒野
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こんな日はお化粧をして花柄のワンピース着て失踪したい
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雨上がり雲の間に覗き見る澄んだ水色汚れなき色
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勉強会 机ひとつで はんぶんこ 机の影で お膝のキッス
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ブニュエルにシュヴァンクマイエルベルイマン巨匠と待ち合わせの名画座
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帰宅即すべてベッドに放り投げて蜜月の合図金麦とキス
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野うさぎは淋しいと死ぬのはご存知で?あなたの前では私はうさぎ
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すごろくであがりし人の 手遊びに振り回されて駒が磨り減る
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ねぇ君は知らないだろうから教えるねクリームブリュレは焦げ目が美味しい
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忌み嫌う社畜となる我が身かな眠気とるためカフェインとる
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サッカーのサの字も知らずわたくしは自分の世界にいていいですか
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けだるくて 雲もゆっくり 木曜日 早く終わって 週末へ向かえ
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さらさらと月日が乾いて灰になり、あの日の蛍はどこに行ったの
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ほんとうに素敵に冷たいあのひとに「冷たいひとが好き」だと言った
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梅雨明けに少し淋しげ佇むはレインブーツとお気に入りの傘
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浴衣着てラムネわたがしりんご飴花火平成最後の夏だからこそ
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のしつきで贈られた悪意を丁寧にくるみ直して返す初夏
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空仰ぎ藍の絵の具を筆に取り絵の具バケツの水こぼし
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十分の遅れの知らせに、客は騒がす。次の列車は、二時間後ゆえ。
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見上げれば魚群の如く銀杏の葉常緑樹なりと見紛うばかりに
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若葉にも小学生にも大人にも今日も等しく空は青くて
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傾ければ暖気のように忍びくるコーンポタージュに雨を予感し
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午後に起きパンツ一丁で家事をする誰にもいえない確かな喜び
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進捗どう? 慌てて資料を掻き集め 昼休みくらい 無になりたいのに
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髪とかし眉を整えめかしこみ 光に誘われ水銀灯へ
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