朝どきに 少し降りゆく 雪の粒  冬の訪れ 少し感じる
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すんなりと結ばぬ像を追いかけてこのトレイルを信じていいか
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その先へ どんどん続く あの線路 どこまでなのか 少し気になる
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明滅し 猛る世界に 微睡んで 「ほとぼり冷めた 頃に起こして。」
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しまわれた優しさや毒がほんのりと滲んで短歌うたはその人となる
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何年も会わぬ知人の夢を見た 元気だろうかやや胸騒ぎ
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死にたいだとか愛してるだとか 結局最後は電子の海の藻屑
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訪れる 一季一期に 油断して 君は笑ってくれなくなった
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流れ出す 余分なものが 汗ととも カラカラヘロりの私も好き 
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極寒の 朝にピチュウと 雀らは やや控えめに 生存知らす / マイナス21
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青年も優しき人も年寄りも理不尽を知る個々の場所にて
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知らない街の図書館で もし君と出逢えたなら
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寒椿昨日も今日も雨多し皆頭下げ艶やかに咲く
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白い月のそばをゆっくり遠ざかる飛行機を見る人の悲しさ
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冬の日の午後の日向ひなたの果ての無さ観音堂の鐘鳴り渡る
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やっぱりだ、前回と同じ時間だ。乱暴運転気分悪い。
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小鳥きて赤い実たべた庭さびし まんりょう縮む氷雨の降る日
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笑えないお笑いにわらう夫と居て温いぬく部屋には寒い沈黙
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詠み終えて 冷たき指を お布団の中でぬくめる大寒の朝
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最愛の叔父三回忌出席す 共に歩いた畑荒れたり
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大寒は昨日と知りて指先の 冷たさ瞬間遠くなりたり
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「無効」との帰無仮説きむかせつ立て棄却せし薬の効果はP値が頼り
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いつからが老人なのか掃除機を かけつつ思う 古稀なる朝に
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脳トレに一日過ごす母だから 認知症には 私が先に
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ろうそくの灯火揺らぎ祈るとき 心は一度 被災地へ飛ぶ
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真実は末端に宿る現れる 我の言動 心が支配す
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日常が守られており当たり前に   蛇口ひねれば水の出ること
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牢獄の机に向かい歌詠みて 歌に救われし死刑囚かな
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孫の弾くピアノを耳に台所 今夜のメニューは甘めのカレー
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えんあった したしいひとびと ばらばらに やはんめざめて まだそこにいる /学校 仕事 地域
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