母の手の ひどく打ちたる我が頬に とてもよく似た真っ赤なりんご
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わたくしと半分同じ血を引いたい二十二歳とししたのいもうと
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わがいおは はなももみじもなかりけり ただ呪われたる我のみがおり
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言の葉を吹きうらかへす秋風に野辺のみどりも色変はるころ
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CDのように冷えゆくこの街でコスモスは咲く君が去っても
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こんな時 黙って隣にいてほしかった もう疲れたよパトラッシュ
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来たことがわかるときにはもう来てた それが来たとき 来てしまうとき
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草深みふみわけがたき夕暮れをたれまつ虫とここら鳴くらむ
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枕木にまるごとバナナを並べたら キミは汽笛を鳴らすだろうか
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「私より私の好きなあれこれを見てよ知ってよ好きになってよ」
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聞こえぬ声祖母の耳には届かない目に真珠が埋まってる
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火事の家遠く山にて確認す我が家に来ぬと水をかけたる
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かくりよはタルトタタンの蜜色とカヤツリソウの囁きのおく
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囲炉裏端馴れた紙帯生活の 柔い手触り着物の香り
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どこの土地にいても家の中ならば同じ環境一番落ち着く
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夕陽さす武蔵野に行き森野行き 駅員見ずや君の手を振る
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三多摩の古き歴史を偲びつつ 草をかき分け秋の野を行く
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半裂きが月をぬたりとめまわし天より下は無碍の澱みに
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ぬばたまの夜とも知らぬ濁り江にひとりすみける月の影かな
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徳用のポテチ砕いて庭に撒く アイツの  どこが   いいと   いうのだ
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いつかくる反抗期までとっておく 乳吸う君の写る写真を
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さっきまで持ってたはずのプライドは 通過電車にひかれて飛んだ
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本当のことなど何もなかったな 下の句はどうか言わせないでくれ
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こらえねば吹きつのる風に洗われる思想ことばの手前にある血と肉に
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懸命に ただ懸命に生きている それをそのまま ただそのままに
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朱き夏ゆき行きて白き秋のふちとどまり玄き冬を眺むる
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遠き雲まぶしく街を見下ろせばまだ夏の日の光る球体
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円柱は春、球体は夏、そして、かたちの消えてゆく秋と冬
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タンタタタ タカタタカタカ タカタタン タンタタタンタ タンタカ短歌
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まっくろな大海原にただひとり ともしびだけでこぎだしてゆく
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