美しいのは散るからと知りつつも 春以外にも見せたい桜
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いつもより時の流れがゆっくりな 千鳥ヶ淵を花と歩こう
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水玉を勝手に傘に描き出す 花びら連れたあたたかい雨
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空もに舞ひ散る見れば佐保姫の春の衣は桜なりけり
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ロスだよと貴方のライン読んでから 私のロスも日に日に加速
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実家より戻りし我が家安堵する それもつか父が気になり
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そのせなにちいさな羽のあることを知らない君はあの町を出ない
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扇風機 室内干しの 為成れど 雨音とともに 二重騒
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餌皿のどれもが底を見せていてトイレも流行るそりゃ食いや出る
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あんたではなかったのだがまあいたしかたなしとくに不都合ないよ
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食材に火を通すだけで完成の一人めし湿った砂時計
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夜明け前に発つと君が言う前に星をいくつか取っておきたい
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しばらくは口に含んでいたソーダ飲んでこれからプールに沈む
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強風で 止まる電車の 座席では 誰もがどこかに 同じ文字打つ
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申し訳無くも「はずれて」と願ってる「雨風強し」予報が揃い
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しくじった雨風強い知ってたらじゃが玉人参にんじん今日まで安し
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いつまでも時鳥じちょうを待った冬の日々あなたもいないあなたがいない
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暮れなずむ春の日だねと振り返る君の姿は夕顔に似て
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まろき頬の幼子に絵本を選ぶ時間こそ得難きものなり
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入園式いよいよ今年で三十回 白髪しらがに似合うよピンクのネクタイ
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快晴で 上がるテンション ルーティンの珈琲 たとえノンカフェインでも
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嵐かな 自分を映す空模様 晴れの日は来る 春もまた来る
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宮跡は荒れし長等の山風に吹雪も匂ふ春の花園
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軽やかに 床を踏みしめ ステップを お湯が沸いたぞ コーヒー淹れよ
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なかった事 激しく降る雨 諭されて 気分は晴れぬ 寄り添う愛犬
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日向夏 ほろ甘うまし 白いわた 爽やかすぎて 皮まで惜しむ
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目黒川 川に流れし 花びらよ 無常の雨は ただ花散らし
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雨粒が桜の花を打つように あなたは私の傷を増やした
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花散らし 雨の大通おおみち 車見て 並木走るか 花弁張り付き
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初登校傘を持つ手もぎこちなく濡れた桜も応援してる
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