君と僕出会った夏は幻だ実際その方が良かったんだよ
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仲秋の 満月天に 浮かびたる されど月暈げつうん 秋雨しゅううの予感
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忘れずに今年も訪いくる雪虫の律儀さが好き 冬は好まず
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嬉しきは 遠くの町より 帰りし孫に 「婆ちゃん好き」と 手を引かれる時
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チビ猫や 試練の目薬 再開だ 季節の変わり目 左眼弱いの
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ねこ抱え コンビニまでは寄れなくて 自販機の前で高速吟味
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いくらかは陽射しやわらか 秋の風 それでも日陰をえらんで歩く
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切り落とし 根だけになった豆苗が 「さあ、リプレイ」と 我にウィンク
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昔思ふ涙は露とふるさとの浅茅が末に宿る月影
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夏前に 張りめぐらしたる 見事な巣 つぎはぎだらけで 秋風に揺れる
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作業着のおっさん廊下で大声で「さっきの警報、誤作動ですので」
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喩ふればとはに孵らぬらんかとも 震へず欠けず円かなる
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富士山を 見るためとった 窓側の席 雲に隠れて 今日は拝めず
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お似合いよ フェイクスマイル 自己暗示 こんな日だけど 幸せ求む
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めずらしく予定が並ぶ10月も 町内行事ばかりでトホホ
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秋晴れの日 息子住む街 ぶらりゆく 日頃の憂い癒す旅
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予定なく真っさらだった今月を ビリビリビリと9月をがす
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みぎひだり 鏡のように 通せんぼ すれ違えずに 微笑み返す
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息子との昔話に花が咲く 予想以上に親を見ている
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見る時は度数弱めの眼鏡越しそれでも綺麗十五夜の月
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大女優 八十近づき 渾身の 演技に迫る 美しさ観る
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遠ざかる 歌が出て来ず 友からの 思わぬ投稿 我奮い立つ
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座談会 決意を述べる 我なれど 妻への感謝 溢れて来るか
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我が友よ 携帯失くす 悲しさよ 慌てふためく 君の姿みゆ
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我が娘 フォトウェディング 美しき よくぞここまで 来れた喜び
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本当に死ぬ間際には脳内でシャットダウンの音が鳴るんだ
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孫たちと 風呂に入るは 嬉しさよ じじと呼ばれる 我は誰かと
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孫と行く 観覧車は 初めての 心ときめき 年月思う
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幼き日 息子に花柄すすめたら 着たくないとの返事が返る
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人住まで荒れにし宿を尋ぬれば浅茅あさぢに誰を松虫の声
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