透き通る青天にさえ気がつかず群れに加わる新宿西口
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指の先まで満たしたい言の葉の脈へと潜りさらに奥まで
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わけもなく淋しくなる夜きみの声聴きたい気持ち隠しておやすみ
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雨上がり雫が光る月の下 花は静かに虫のを聴く
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月明かり緋色に匂う曼珠沙華 切なく凛とし我が目を奪う
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散歩道みどりの中に誇るあか 秋色吸い込み朝を駆けゆく
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ジャリと鳴る道を見つめるあの小さき足で確かに踏みしめられた
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いるはずだ時間泥棒きみといる日に盗まれるいつも必ず
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全身の毛が夕焼けの光浴び輪郭輝く小さなからだ
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真っ白なハードカバーにハート舞う二十年ぶり交換日記
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テレビから離れぬ父と歩く晩そばに愛犬のんびりおしゃべり
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履きなれぬ プライドの靴 脱ぎ捨てて 裸足になろう 気持ちいいから
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空の朱 ほほの赤色 どちらとも 恋をしている 乙女心か
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雨の中 そっと唇 重ねてる 二人見つめる 虹色の傘
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インフルの床を這い出し 水飲めば ライフが一つ回復したよ
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降る雪を見つめ呟く男の子 この雪みんな お金だったら
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誤字をしてゴジラのように雄叫びを上げる 「ぴぎゃー!」 と そんな午後五時
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もういちど 歩きてえな と言う父の 言葉遺りて 消ゆることなく
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流水にドライアイスのあぶく立ち洗濯機いま平和と回る
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男って頭良くてさ強いのに高い声には情けないのね
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今日未明おやつの余韻の影響で冷蔵庫への足取りのあり
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地獄とはこんな夜あぁたばこの灰大事に溜めた空き瓶のひかる
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自死さえも消費している悲しさを消費しているここから翔び立つ
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ただ比喩としてのみ鳥になるわたくしがあなたを慕ふうたをよむこと
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君の名は? チョコくれた子に 一目惚れ 逆告白に 彼女泣き出す
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少しだけ 時間忘れて みませんか ただ空を見る いいものですよ
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青空にぽかりと浮かぶひつじ雲 ひとりぼっちも悪くはないね
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転職を警戒しつつ申し込むエージェントはせめて初恋似
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お前にもやるべきことがあるのかい 「しあわせ」などはみつかったかい
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毎日をただ生きてきて「しあわせ」の答え合わせが怖いこの頃
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