老人が 橋のたもとに 佇みて 川の流れを じっと見ていた
2
止まるたび 人で膨らむ 車内でも 青空ととも 今日走り出す 
7
愛情もお金も優しさ憎しみも与えた分だけ返ってくるの
7
雲上より 宝石箱を ちりばめた みたいに光る ひとの営み
22
歩の先を季節外れの蝶が飛ぶ 亡母と思ひて 心和みぬ
24
キッチンの菜園に残るみつば一本 陽だまり探し細き身のばす
11
赤飯で七十六歳しちじふろくを祝はるる爺医にしてなほ働き盛りぞ
7
初孫は、健やかでみんなに抱かれ、すやすやとひとなつこさnice & cute❣️
7
お土産と 土のかたまり ニコニコと 拾った朝には 霜ばしらだったか
11
ガタンゴトン、今日も月夜を突き抜けて始発は行くよどこまでも
6
夜半過ぎ 鼾響かぬ 寝室に 寂しき気のする つまは入院
16
夜半にぞ目覚めたるれば ティッシュの海 ちま猫、暇で 箱ティッシュ破壊
6
「ではない」を振り切り逃げる過言ちゃん海より広い口開け笑う
4
くさかんむりに母と書かれたイチゴには種の子供が着いて離れず
28
いつかまた あの日の笑い声のような 日々を願いて かたしく眠る
6
締め切りに追いつかれても嘲笑うくらいの気持ちいまここにあれ
5
ちょっとだけ ほんの少しの 違いだけ 悪くなったり 良くなったりも
4
幼子が遊ぶ硝子はわたくしが捨てた酒瓶の成れの果て
4
幼き日君と拾った貝殻のあの桃色が忘れ難くて
7
痩せねばと思いつつ一人むさぼった とても美味しい回転寿司よ
3
消化した 灯油のにおいは 我を連れ 安堵と思い出 行ったり来たり
7
酒不味く 心配されて 流し込む 「恋の病」に 薬はないよ。
6
酒飲めず お前どうした? 聞かれても 「恋の病」だ なんて言えるか!/おっさん
8
かつ結び かつ消え 儚きうたかたよ 電子の海で消えないでいて
7
はっさくの香りが残る台所 黄色に名残る親指の爪
19
ミスをせぬ人がこの世にいるならば たぶんその人何もせぬ人
18
この中にこの世の幸せ詰まってる 猫と一緒にもぐる炬燵に
15
人生のイベント式の付くものは残り葬式だけだねたぶん
9
冬の夜澄んだ空気を照らし出す自販機たちとオリオンの帯
6
ちま猫は ボールくわえて どこまでも はしるはしるよ わんこにまけにゃい
8