「ユニセックスだから」と君がコロン吹きかけた手首を静かになぞる
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初恋を昭和レトロな喫茶にて今も待ってる古希はしつこく
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夜アイス罪悪感を吹き飛ばす店に態態糖尿は行く
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山にいるななつの子らを忘れたか都会のカラスがごみをついばむ
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いくつかのことばの糸の絡まりを抱き留めたままページをひらく
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ランドセル からす追う追う 影法師 明日は試験 今は17
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「やっぱりさ、俺にしとけよ」。どの口が言うか、と君は思うでしょうね。
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ゆっくりと休み休み歩く道  お互い歳をとったね愛犬よ
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日暮れまでモッコウバラの手入れするモッコウバラ色スカートのひと
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実家には もう十年になるのにね 虹の橋渡った長女猫あのこのキャリー(もうすぐ命日)
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わたしは切ない あなたの"さみしい" 関係なくとも 重ねてみむとす
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真夏日のゴールデンウィークもはやもうベリベリサマーウィークなうか
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Amazonの定期購入の整理する  ちゅーるを外す寂しさたるや
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猫がいたケージをいまだに片付けない たまに寝息が聞こえてきそうで
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宵の口カモが飛び立つシベリアに私も行きたい ここよりはマシ
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様々な 敬称飛び交う 誕生日 お母さん ばあば ひいばあば
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ふたりには未来はないよそんな年齢とし だけどちょこっと期待をしつつ
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文字だけで伝えることは難しい どれだけ気持ち込めたとしても
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行き絶えて 秋の手口の あるものを 良き逢坂は 君の恋時に
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手洗いをほどこす お気にのニットたち 気分あげてね また来る冬も
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人生があと半分あるのなら十年くらい待ってあげるよ
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一年中四月の終わりの陽気なら良いと思うは午睡の夢なり
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あんぱんとドライフルーツで桃酒のむ 今日はオレンジ 明日はりんご
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カーラジオ流れる昭和ポップスでひととき高校時代に戻り
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目を閉じて浮かぶあの人いつも笑顔 誰かに浮かぶ我はどうだろ
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雪解けて レンズ越しの 花紋様 笑う夢には 人の花には
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目一杯吸い込んだ息を一吹きに 綿毛を飛ばす赤いほっぺた
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市場いちばなるおうなに母を思ほゆれ やがてつつじも雨に染むらむ
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朝八時だあれもいない公園をひとりじめする小さな兄弟
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愛猫と 惰眠むさぼる 昼下がり 全力抜いて 私を放つ
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