断頭台 のぼる王妃の心地する トラブル続きの出勤日の朝
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香久山の今朝は雲居に霞めるは天の戸よりや春は来ぬらむ
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ちはやぶる 大雪山だいせつざんの 綿帽子 超えて参ろう 吾子の住むまち / やや光る君
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感性を言葉で紡ぐ引き出しを 多く持ちて生まれ出づ人
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三十分前から三歳きみは玄関で「はやくいこうよどうぶつえんに」
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よるをゆき 無聊をふさぎ さむささく なすことすること おんだんかのもと
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よがあけて するべきことを すませたら きみにあいにく たのしみしてて
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あてどない営みと知り繰り返し手を振っている人の苦しみ
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夜明け前の冷えた地面に横たわる人の胸にある黒い塊
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ゼーリエに 「魔法」をひとつもらうなら あなたは何を 願いますか。
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わがままな子にも快哉叫ぶ母 受験の季節 「サクラサク」届く
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ひところの よるのさむさも やわらいで 脳内音楽 「ホームにて」/ 「ふるさとへ むかう さいしゅうはぁ♫」
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六ミリのバリカンすべらせ丸坊主に。聴診器より数珠が似合ふかも
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オーバーに笑うのが仕事なのですと顔に書いてあるテレビタレント
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俺だけじゃダメなん?流行りの曲も聞くし お前の塩加減とかわかるよ
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ゴハンあと 母とねむるが楽しみで ちま猫そっと足元寄り添う
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毎日を遺書を残して過ごしたら書くことばかりで時間が足りない
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過ぎ行けば「過去」と名前が付けられて 進めない人置き去りにする
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君いない二度目の春は今もまだ モノクロームに写し出された
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あたしだけ! って自惚れちゃってもいいかな? 半泣き双眼鏡の奥より
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全人類同じ体だったなら板に立つのは本当に俺?
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ずっと見てたからこそだよブランドのキャップを被っても優しく見れるよ
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多分、まだ 君の背中を追うけれど 振り返らずに走り抜けてね
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こそあどで 話す声だけ デカい人 滑舌悪く 3度聞き直す
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春が来る すべての恋が 動き出す 咲け咲け咲けよ すべての蕾
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駅前で やっすい弁当 買ったから 今日も一日 生きるしかない
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バス停で 雨に塗られた あの日から もう決めたんだ パーは出さない
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お湯沸かし 3分茹でて スープ入れ 無情にも鳴る 玄関チャイム
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明日には 二度と会えない 君になる あたためてくれ 孤独なヒーター
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ちょっとした できことさえも 短歌なら 非日常ひにちじょうかの ようなおもむき
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