飛行機に 乗って知らない街に行き 市場の林檎を 一つ買いたし
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継続は力であるというならば この死にたさもいつか実るよ
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激辛のラーメンの味噛み締める 焦げる内臓生きてるわたし
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重たさをこの身ひとつで受け止めて ころがりつづける日曜の昼
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用意した 家族のための モーニング サラダ果物 トーストと愛
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としのせは ぬくまりたくて コルベール ヘップバーンと シャーリーマクレーン
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膝軋み 乾風に喉灼けようと 市民ランナー 実存に至る
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雪降って別居先からライン来る復縁と思いきや教育費
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「なんでやねん」教えた私が 悪いけど ツッコミ鋭く 孫にたじろぐ
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どうしてを 何万回も 繰り返す 今日の私は 無邪気なドングリ
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控えめで 無口で静かな人だった 自分の中に もう会えぬ父 
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秋の日の一番いいとこ総取りし日向ひなたぼっこやお茶を飲んだり
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寝坊してゆっくりと喰む朝食は一泊朝食五千円也
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寒空を 少し温め 野に帰す 朝には陽気に 変わるのだろう
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夢の中 もいちど長女猫あのこを抱けたなら 遠きぬくもり また鮮明に
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オッドアイ白猫画像を見て思う 長女猫あのこもたまには夢に出て欲し
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あぁ寒い 人肌恋しと 呟くの 人の温さも 知らない癖に
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風花に 白く霞むや 山の中 熊の親子の 抱き合う温度
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たこ焼きの 真ん丸のごと ころころと 軽く転がる 心になりたし
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正直三十一モーラでありゃもう何でもいいと思っており
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突っ伏して感じる机のひややかさ 火照った頬の温度を奪って
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家出して車中泊の犬と我今宵は楽しい寒風笑う
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半額の弁当に集まるぼくらでゴジラさえ倒せる気がした
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紅茶では駄目だ沈めた感情が飲み干す前に丸見えになる
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借りるよと言う友の声姿消す 買わなきゃ良かった新品の消しゴム
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友だちがひとりもいない父を見て育ったからかケンカが怖い
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本当は早く行きたい恋人も友達さえもいない惑星
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送るだけ送って消したトーク画面 既読の二文字さえも怖くて
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会いたいと思う気持ちにつり合いがとれないままに落ちるみずうみ
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幕末にNがあったなら大老の死に「イイね!」殺到
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