猫二匹画面を撫でてなんですかと不満げ返すスマートフォン
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月がきれいですねと言いたい そのために寒空の下飛び出す夜だ
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コツコツと楽しい思い出ためてゆき 走馬灯を彩りたいのだ
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灰色の夜空に星はひとつ無くわたしと同じ無数の0で
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不器用な左手と嘘をつらぬいて今すぐ泣けと頬打つ光
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かきくけこ 夏はきっと かきくけこ かき氷描き 柿食えば秋
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「選べる」がつくる自由とさらに先 幸せにいま近づいてこそ
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マスクしたリアルか素顔のオンライン 会える幸せ会えぬ幸せ
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誘うのがいつも怖いの隠してる 人の知らぬがわたしをつくる
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「さよならはまた会うためのおまじない」 叶えよ全部のおまじないたち
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あきらめぬ 心が救う 奇跡とは 闇に輝く 光に似たり
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忘れないずっとあなたがいた夏と 今日も明日もいないこの夏
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信じれば 寒肥が腐り 草花の 若芽となりて 緑が覆う
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殺伐と している土地に 花が咲く そういうことが あるから不思議
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春なのか もう春なのか もうなのか やっと抜け出す もう冬は嫌
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今朝だっけ フロントガラス 濡れていた 氷じゃないよ 水だったから
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シンプルや 勧善懲悪 成し遂げよ 己の中の 大掃除やな
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いいことは あきらめないで それプラス 悪いことなど さっぱりやめよ
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じゃがいもにバターのっけるうれしさに意識遠のき土星を駆ける
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久しぶり 去ったあの子の ツイッター いつものように 普通のように
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暴力と 我儘だらけ それでまだ 家庭と呼べる 愛は終わらず
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船山の 橋を渡れば 今日もまた 富士の高嶺 雪が積もりて
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あしあと見詰めて無限の宇宙に飛び立った見つからないままがいい
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すれ違う一年前の僕に告ぐ「お前の尻に火がついてるぞ」
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駆け落ちてピンクの象を見に行こう まぶたの裏でずっと待ってる
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玄米を炊く湯気こもり換気扇 早くおいでと香る夕暮れ
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ブーブーの歯磨きコップは置いてゆけ獣道とて一人で走れ
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小走りの傘を持たない子どもらの足音聞こゆ立春の雨
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隙き時間山ほどもあるしたくないことども虚弱そうなの一人
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早朝のラジオの声はずるいほどあの人に似て闇は藍色
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