恋敵 仮想敵でしかないそれにやきもちを焼くかわいい人だな
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ぼくの名をあなたが呼んでくれるなら あなたの声で愛も聞かせて
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ハート型ドーナツに歯形つけるとか きみに歯形をつけたいだとか
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春遠く冬の寒さと花粉症朝の身体を責め苛みたり
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この怒り我がものにして誰であれ抑えも奪えも出来ようもなし
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あの頃のあなたの声が胸の奥底でゆっくりオパールになる
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弟と拙き論をぶつけ合い仔犬二匹のじゃれ合うごとし
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惚気とも疎遠に過ごす晩冬も桜花の咲くを心待ちにす
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どや顔で問答の我蹴り飛ばす 不意のくしゃみは 春風の揶揄
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富貴貴賤 老若男女 古今さへ 違わず約す せい がい のしん
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春雨の流れ往く涯 知らずとも 涯こそあらめ ただ其れ安堵
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気怠さは除雪の疲れのんびりと春待つだけの夫婦の誤算
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真こそ 無き事をなむ 真とし 真無きさへ 無きと知りなば
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春の朝 夏の中日 秋の夕 冬の宵闇 至る青山
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「特別」なあなたを「いつも」のあなたへと 変えゆくものを「あい」と呼びたい
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人は来て巣だち育み病みて逝く 営みしればつゆとさらまし
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父が発ち母も渡りし果ての吾 夢は現に現は夢に
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返信のおしりにぜんぶ「!!(ビックリ)」をつけてたあの頃茶化してわらう
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指先でふれるふるえるひとりではたどりつけない世界の果てに
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旧友の 何年振りかメッセージ 変わらなすぎて 嬉し泣きして
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さようなら五文字で違える生き先を 恋心とは朧気なり
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赤紫蘇と梅酢に漬けた蕪ほのりピンク春らし食卓飾る
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色つきのリップクリーム今日くらい許してよって卒業の朝
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感触をひらくことばになぞられて暗いほのおに灯る輪郭
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一生、追いつけない光を掴もうと手を伸ばす 猫みたいにすり抜けていく
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キラキラと輝く銀河のその底でずっと生きてていたかったのに
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ボケた振り ごく冗談のつもりだが要介護かとささやく家族
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足をつる前の静けさ察し取り咄嗟に伸ばし回避し一人
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生き残り図る異なる社風でも手をつなぎスーパー激戦に
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決意と気迫あれば戦争やめられる甘いな無駄な反戦歌また
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