お互いの気持ちさめても 手元には 二人で買ったサーモスカップ
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旅先で二人一つのカキ氷 スプーン一つ取り合いながら
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屋上に行けないドアは冷たくて だから私は鳥になれない
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布団干し窓開け放す五月晴れ子等の帰省を待つ母として
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「好きだよ。」と 言ってくれてた君の声 ニ度と聴けない 幸せの時間とき
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隙あらば舐めてくる人はどこにでもいて見ているかお前のことだよ
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生きてると何もが減っていきますね洗剤も紙も命も金も
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朝日に吸い込まれつつある空の青を探している樹々の木陰で
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夜に聴くラジオニュースも大型の連休入る他変わり無し
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真っ青な空にリズムを取っていく烏揚羽の黒は無邪気
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鏡台に吊るし翡翠の勾玉に 笑顔のあなた 呪うの今夜
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連休は孝行するため帰省するそれは建前本音は秘密
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爽やかさより暑さ勝つ初夏待った 観光地で氷が爆売れ
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我ながら当り障りのない会話 出会い頭の社長と専務
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自意識がブレーキをかけ邪魔をする 派手な車を好きにならない
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連休の風に当てられ納品路皐月一日気合入らず
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イライラを閉める力に込めるけどゆっくり閉まるスライド機能
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春になり同じ時刻のジョギングで 挨拶交わす顔が多彩に
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バースデーケーキも感情もぜんぶ飲み込んだまま越える境界
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四人分 子鯉泳ぐ 角の家 君らの幸を 私も祈る
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5時に起きシャワーを浴びてもまだ6時ここは楽園ワンルーム楽園
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半年が経っても心から消えないよこれはアレだねもはやアレだね
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この時間に起きてて絶望せずに済む三連休の醍醐味はこれ
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はるきても 幸福感が ないのだが 感がないのか こうふくないか
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幸せな妄想抱え倒れ込み汚泥のような眠りについた
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予定なき誕生日には初めてのジョギングウェア決意新たに
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小麦粉を銀のボウルにふるう時の静かな心が好きと思う
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誠実にさくらは月に触れたがる黄砂と絡み花びらは散る
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アヒルの子は美しい鳥になったのに私は今もみにくいままだ
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お別れをしようと告げたこの口が やり直そうの言葉をつぐむ
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