連絡の無いことそれがよい便りらしき誰かの届かない声
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可も不可も大きな事も無き日々にそうしていずれしらりと消える
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月光に虫の音まじる帰り道自然織りなす劇場舞台
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押し寄せる暑さが思考を紫の渦に溶かして見えなくさせる
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二、三回今日も世界を救ったら声を嗄らしてやっと眠れる
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たまに来る二男きみの話は楽しくて 嫁に返せと言いたくなった
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うなずいているだけなのにお人形相手じゃどうして駄目なんですか?
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やっぱりさ人と暮らすの苦手かも 新婚3年二男むすこがポロリ
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貴方・私ふたりともお風呂は熱めが好きだった 四半世紀もかかって知った
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この宇宙そらが膨らむならば、この愛は小さく見えてしまうだろうか
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描き回せ 闇夜に浮かぶ 星空を 明日の自分よ 一歩踏み出せ
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今日もまたポリスに追われ汗流す無銭の分のカロリー消費/続・食い逃げ①
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小銭をバトンのように握りしめ公衆電話の会話懐かし/ねこ母CAT様へオマージュ
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こぼさないように氷が溶けてゆくカップと歩く知らない小路
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タンポポのあたま俄かに蹴飛ばして有象無象の声がきこえる
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グラビアの 女子の水着は 店で見ず あるのは色気 なきラッシュガード
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実態が残らないほど溶かし切る 魂は風になって消えゆく
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金型がたとえ複雑だったとて 鋳型に嵌まる私ではない
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出来合いの冷めた惣菜あてがわれ満足できる舌がよかった
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退屈に終焉無くんば覚醒を目前めまえにしてるキミをことほ
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わが足のつち踏む草鞋わらぢのやうな音 遥けき昔もかく歩みけむ
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笑いながら 家族の話してるけど 今は違うの 聞きたくないの
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恥ずかしい思い出ばかりが甦る 恥を知らずに生きてきました
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爬虫類を飼うか悩んでるんだよね 嫁と話せば 関係ないし
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妻と子が大阪で待つ君が言う「好きだから俺と付き合ってください
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ヒトに換算しなきゃ敬えないの?十三歳の馬の嘶き
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鉄道の座席の上に花畑 こうべが揺れて隠す夕の陽
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呆れたを 通り越した 感情を どう表すのか ググるのやめた
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手の甲にツートンカラーの蚊がとまり他人事ひとごとみたいにそれを見ている
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雨宿り出来そな軒下樹のきき探し見る周り一面田と田と田と田
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