我が犬よ大事なものが分かったよ肩書きいらない遜色いらない
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春雷が 丸めた背中 どん!と押す はれた視界に 何色を塗ろう
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雨音と病の犬の寝息聴き深夜の優しさ明日は知らない
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憶測が 飛び交っていて 何が嘘 本当のこと ってなんだろう
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キミが存在するいる世界の夢を見るだけでしあわせなんだ 愛しているよ
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終電の地下鉄でてりたま買った大学生が寝てる。いま、春。
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鱗雲、魚の身体通るように錠剤みたく月が行く夜
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そこにある 見えないものと 見えるもの 気持ちひとつで 虹色になる
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大河後の せつない気持ちが吹っ飛んだ 布団の上で ねこが待ってた
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昨日朝初めて知った純情が煌めいて舞う三月の雪
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観客を泣かせるような演技して名優になりたい妻の前
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身から出たサビを掬って飲み込んで人生修行中だと思う
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桜より梅に惹かれる年になり一体幾度季節はめぐった
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旅立ちに大さじ1の祝福と小さじ1の淋しさを添えます
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父でなく 夫でなくて ただの他人ひと なのにどうして 涙流れる
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さしぐめば 空五倍子染うつぶしぞめのあはの おぼろの月の更に曇らむ
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加護される 暮らしであれば 棄てられた俺など別に オジ抱くことなく
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天秤は 釣り合う道具だけれども この世の全て つり逢わないね  /アウラ
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そのしるべは教えてくれるこの道に時代をつたう糸のあること
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光る君 衣艶やか 絡む性 何を描くか 文豪たちよ
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事故に遭い 妻の振る舞い 有り難き 衰え行く身を 認めぬ悲しさ
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重馬場も気にもとめずに凌ぎ切るクールな人馬に祝福を
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スパムからDMが来ない4月1日午前四時、死亡確認
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176cmセンチメートル50kgキロ薄い人生を過ごしてしまった
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もういいよ ここに君ごと置いてくよ プリもおそろのキーホルダーも
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わけもなく 固有名詞を嫌うのは 和歌、英文と、匿名論者
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海老のよう布団の中で丸くなる冬用シーツ恋し三寒
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言葉数隙さへあればポンポンとバドミントンのように打ち合ふ
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共犯のように走ったあとの父子おやこの靴が散らばる玄関
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ただただ寝て終わってしまった一日にどんな理由と意味を与えよう
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