拾ひきし犬も今年で八年か誕生日としササミを茹でる
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演奏の終はりし後の静寂に少し遅れて喝采のあり
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踏み外し墜ちた輩に大衆は「それ見たことか」石を投げつけ
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野生の血ときに騒げば飼ひ犬はひくく吠えつつ庭かけ回る
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飲みかけの「リコピンリッチ」こぼしてはこれはまずいとシャツの胸見る
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隠してた愚かぽろぽろ零れ出てやばそうだなと踏み留まった
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古来より人の不幸は蜜の味 憂さを晴らして秩序を守る
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道端に真の藍色集まって輝く「紫陽花あじさい」 黴雨つゆのまにまに
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「おめでとう」 ふたりで言えず残念だ パパもママもさ 君愛してる
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照りつける通勤の路日陰なし 甘えるなかれと襟を正す
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青空の大きなキャンバス、描くのは、鳥と雲との気ままな世界
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聞きつとは誰に告げまし郭公あたら鳴くなりわび人の垣
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子のナビで おぼつかなげに ポチる母 ネットスーパー 初心者マーク
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きみとぼくの海を交換してみてもこんなにさびしい深海魚たち
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朝スタで、いつものラテ、ホッとするなぁ、いい日通勤^_^
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それでもね、今の人生悪くない、幼き写真が、少し笑った
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誰が里に今夜なくらむ郭公世をうの花の門を問はずて
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金曜日 朝から調子はよくないが せめて日課の短歌だけは詠みぬ
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なつ椿 おのが露命ろめいを知りながら あしたには咲き夕べには散る
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キラキラと目を輝かせて見つめるは瞳に映るクリームソーダ
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何にでも歌に変えてしまおうと安易な考えすぐ見抜かれる
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がたんごとん f分の1えふぶんのいちの揺らぎにてすやすや眠る赤子の尊さ
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朝食の りんごを剥けず トマトジュース 買い出し負荷過多 手首に湿布
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歌づくり精度が下がった気がすると思ってすぐに辞書を開く
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諸行無常鼓膜を震わす女史のこえまいどありと伝えるかわいさ
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朝起きると昨日の自分が消えたみたい今日の自分が一番若い
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小さな手ドアに置いて瞼閉じドアの振動感じる幼子おさなご
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車両の中きょうだいみんな釘付けに敷かれたレールの先を見つめる
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子を見つめ母の眼差し美しく優しく光る瞳のかがやき
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運転士指差し確認怠らずいろんな機械を見つめて走る
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