朝日から昨夜のことを囁かれ 見るな見るなと閉じたカーテン
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別れ際 間違えて言った「また明日」 言い直しても「またねさよなら」
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ハイウェイを抜けたその先 あの人と住んだあの街 アクセルを踏む
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神頼みしてる私は弱虫だ 来年は君と初詣へと
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傘を刺す君と僕との境目に縮まぬ隙間 右手が寂しい
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麗しき人魚に言葉知らしめてフェーズフォーカス 自分軸など
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雨の降るまえにと外に飛び出して帰るころには汗に濡れたる
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夜中いつ見ても窓越しに人は歩み行く 華やかさより感じる上京
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「生命を守る行動」と気軽にエアコンスイッチ・オン ホモサピ元気もガイアは辛かろ
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無い金を パチゴミ屋に棄てる毎日が 始まる、君に 逢いたい逃避
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雷鳴よ私の頭蓋で鳴り響き 不安の声を搔き消してくれ
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彦星と 織姫たちは 八月も 場所によっては  七夕むかえ
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喉イタが治りきってはいないけど 今夜もビールに合うメニューをば
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イライラとお茶を飲むのももったいなく 頓服ひとつ口に放り込む
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事を悪く考えたとて成果でずメダルないなら何も思わず
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虫の音も聴こえぬうちに立秋と聞きつつ右手は汗を拭いてる
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大文字だいもんじ 宇治の花火に 地蔵盆 暮色迫るも 駆けずる童
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たまにはね心の洗濯必要で涙で全て綺麗にしたい
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人生はそう簡単に終わらない なのにどうしてこうも怖いか
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男子バレー敗退悔しさと同じ位もう見られないことの寂しさ
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薬味にとバッタの残せし紫蘇しそ葉つみ葱も刻むで揖保の糸啜る
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花の名は長崎甲比丹カピタン藤の花 白花くっきりオランダの匂う
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つめたくて甘いアイスを楽しみに うたた寝をせむ ねこが起こすまで
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両膝にバケツを挟み牛乳ちちしぼり夏の暑さにしとどの汗が
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鎌倉の弁財天にてさつ洗う清き池には白蛇はくじや棲むと言う
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ツツツツと迷いを捨てて突き進む飛行機雲をお守りにして
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真菰まこも干し御霊みたま迎へる馬造る盆の行事も語り種となり
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冬至の日泊まりがけにと丹沢へ寒さこらへて星空睨む
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あの日には眩き強き熱波あり 八月六日は祈り願う日
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じつと見るあの眼差まなざしの正体が刃物だつたら傷がもらえた
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