拝殿の 手前で拾う 5円玉 手持ちと重ねて“ご縁”祈る
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上等のチーズののこりを食べる午後 ちょっと優雅なレディの気分
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お盆明け シーツの帆を上げ 物干しが  青空のもと 帆船になる
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道端を穿つ新芽のごと吾子が初めて見せし抵抗の牙
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炎天「下」とは言い得て妙この頃は上でなくてもよく焼けるグリル
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影踏みを夏の遊びと過ごしたが日傘さす今影持ち歩く
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お別れだね戻れない夜が来ちゃうから星が瞬く前にさわって
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やがてまたぼくが終わろうとする夜に蝉のぬけがら一切を拒む
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街中で聞こえる会話故郷とは違うとわかるなぜおもしろい
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二死満塁、期待の渦の真ん中に立つ君、流れ星よ叶えて
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おひるどき ねこがまんぷくでおきてこない 夜中につまみ食いとかしたから(笑)
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おれたちの若気の至りが稲妻になって真夏の夜空穿った
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次会える 年末までの四か月  あなたに恥じぬ 日々を過ごさむ
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散り行く日 田舎で出会いし 少女へと 自画像迫られ 送る思い出
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次会える 年末までの四か月  たなたに恥じぬ 日々を送ろう
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ザリザリと噛み砕けない飴玉を転がすように口籠くちごもる僕
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後遺症の 健忘嘆くな それも全て ひっくるめて 受け止めるから
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お互いの 「Hey Siri」に「なに?」と返事する 共に笑って 歳を取れたら
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左手首 巻かれたSiriさん 担当は 麺茹で時間のタイマー係
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青い海 広くおおきな懐に ちっぽけな我 悩み流したき
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心には不満湧き出る泉あり押さえる栓を探す毎日
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電車から見た海 ささやかなる夏の思い出なりし 須磨浦海岸
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夏祭り柄のミニ缶クッキーを そろそろ食べてしまおか、季節が
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まだ暑い 買い足し買い換えしようにも夏物消えて困るお盆過ぎ
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朝起きて のどの痛みに気が付くも 言い聞かせるは これは気のせい
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1日くらい青いワンピとサンダルで でも行く先は薬局かコンビニ
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白雨より 緑いちめん 洗われて 耕運機の空に 里山の夏
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免罪符なかれば奔れ かぜのなか埋もれるだろう陽のひかりまで
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濃い霧が  押し寄せてくるエレベーター  香りのヨロイをまといしひとと
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にぎやかな運河の街に雨が降る私も流れ海になれたら
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