いつ来てもいつ帰っても自由だが 皆9時に来て皆5時に帰る
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板の間を裸足で過ごす生活で 床の掃除を丁寧にする
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同じ土同じ肥料で育つ芋 それでも同じ形は出来ない
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優先席二回も譲られ改めて鏡で見たら ああ、やっぱりか
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やっぱり呪われていた初デート九十歳まで共にいるとは
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いつまでも落ち込んでても仕方ない 立ち直っても仕方がないだろ
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土日明けはちゃんとします今日だけは 全責任から逃れるために
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限界で お金払ってハグされて 知らない人なのが救いです
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上の空だった私を笑うよう 床で破けた黄身が広がる
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キャーキャーと子らが元気にはしゃぐ時 想像している子ゴジラの声
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むよくだと うそぶくこころに うずまくよく きづかぬふりで 「欲?」クヨクヨ
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ラララララ〜「ラ」の字で押し切る短歌読む 頭の中でリピート再生 
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消防の広報車告ぐ「火の用心」 雨待つ紫陽花咲きこぼるるに
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よろろそろ のろろるふふね やかかとに こここそこころ れれりるるれり
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起きられず昼食になる 朝食が わがのおひるは 先にやりました
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虫退治 潰す一瞬 罪悪感 ちいさくたって生命いのちなのにね(蚊は別)
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「これなあに?」問う炊飯器に「ケーキだよ」 答えてスイッチ後はお任せ
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寝ぼけつつ適当に混ぜたケーキ炊く 休日の昼は少し特別
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クリスマスツリーの代わりにお雛様お盆におせち食べてもいいがね
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休みの日娘とグミ食べてドラマ見るよなのんびり時間
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休んだ分周りの時間は進行し取り戻せぬよう怯える毎日
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あの夏が 灼き付いたまま 歓声と ブラスバンドと 俺のエラーと
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指先が お前の形を 憶えてく キャッチャーミットへ 投げ込むたびに
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仕事・家事・育児しながら趣味までも 幻の如き過去の分身
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本日は 娘の市民オーケストラオケの 演奏会 娘のひとの演奏 気楽でワクワク
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カナブンと新芽喰われた紫陽花あじさいと思い出させるカメムシな年
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役割で呼ばれることの荷を下ろし自分のままを生きたし今ぞ
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ポイ活も掃除も抜かりない彼の 花瓶の数だけ覚えぬ手土産
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午前五時われの目覚めの時知るや夜具に入り込むいりこむ猫のぬくもり
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亡母ははの年とうに追い越し詮無きは あなたの古希や米寿を見たかった
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