学校に忘れた傘はこっそりと夜に私の悪口を言う
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垂れただれた夜に 要約の漸くの、雨 風鈴の 涼やかな音 一つ残りて
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贋物の爪と睫毛を張り付けて愛を謳えし彼女の深淵
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自己顕示いよいよ強し台風のオホーツクへも雨は三日目
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宝石のような休日暮れゆきて 手よりもわが猫の寝顔じっと見る
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AIに愛を教えてあげたくて端末を抱きしめて寝る君
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雨 二週間前に失くした自転車の鍵の上にも平等に降る
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故郷の 実家の猫が 死んだらしい 盆に別れを言いたかったのに
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かみさまは図工が下手くそ死んだら一生会えないなんて
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果てしない 物語を欲しがる僕は いつになっても 子どものまんま
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夏映画 友人の家で もう一度 今年の夏も ただ過ぎゆくのだろう
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君遠み 常に会はんと 思えども ただ夢でさえ 逢えぬ 寂しさ
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無機質な 電車の中に 鮮やかな 浴衣の姿 世界が明るく
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「あくまでも方法論」と言うときの彼の口元 四十六度
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夕立に食べ損なったバーベキューかぶりつきたい君のふともも
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はにかんでごめんねって言ったって許してあげないテレビ直して
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友達が選んだ服で池袋量産型のかわいいになる
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高校の 同窓会は 嬉しいが 憧れの人は 結婚してるだろう
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月涼し明日の荷物積みながら花火帰りの人を見送る
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意味もなく 懐かしい人に連絡を 盆休み前 高まる気分
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小屋裏の小窓はすでに小さくて花火を観てる家族をみてる
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久々の 妻の雷 突き刺さる いつか忘れし 原点を知る
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我が孫よ 恐竜見に 福井へと ホテルもまたも 恐竜ホテル
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ロッカーが 広くて中は スッカスカ 私の心の中みたいね
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去り際にたのしかったが押し寄せるまだたのしいのままいたいのに
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一定の寂しさを持ち、生きている あなた無しでも歩けるように。
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死ぬまでにこの世の本をぜんぶ読めると信じてた十歳の夏
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目に浮かぶそんな短歌うた読み癒やされる 恋してる彼羨ましいな
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恩師への暑中見舞いの空白に ヘタクソな歌一首咲かせる
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穏やかに今日という日が暮れていく 永遠とわに続いて平和な日々よ
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