暇潰し 噛む爪も無く、指を食む。 歯応えもなく、滲みる指先。
2
水色の君の抜け殻間違えて洗濯しちゃった もういないのに
2
書物のような顔をして、日向夏、お前も爆発してはくれぬか
3
もう恨んでないと言えば嘘になる 湖畔で一人あひると暮らす
2
届かない星に焦がれた罰として 腕を焼かれた ミロのヴィーナス
1
弾け出す ヘッドライトと 人の声 優しく染まる 冬の夕空
3
掲    食い込む肩革 にらむ君の1
1
降ろすもんかと
1
うみねこの翼青には程遠く我は海にはなれぬと知った
2
身の丈に合わぬ願いの罰として 影を裂かれた文学少女
1
冷たい雨降る日 兄が連れていってくれたタイヤキ屋 二人でペロリと食べちゃった 
1
違うこと 望んで選んだ はずだった ああこんなにも 寂しいなんて
1
ねぇ鏡´ 一番美しいのは誰? ||誰より貴方が わかっているはず
1
褒められたし わけでもなかろと 慰めし おれと酒精と 大寒の夜半
0
齒でこそぎ、甘皮捲り鉄の味。 舌で舐め取る、痛みとともに。
5
眠らなきゃ 明日が苦しい 眠れない 魘され苦しい 気が狂いそう
1
長机 震える母の 手の横で 願書と共に 将来見ゆる
3
この体 真に自分のものなのか問おう自分と思える日まで
2
真っ暗は 安らげるので 灯り消し けど魘されて 怖い寝しなは
1
ひさかたの ひかりのどかに 名古屋まで 静岡浜松 豊橋名古屋
0
冬の都の 六畳アパートの 壁をうすみ わがコロッケパン すぐに食べつつ  
1
炬燵を思い 布団に縮む
0
ときどきは傷口キスするように痛み分け合うわたしのわたし
0
解けない 結び目にした、靴紐の  緩ませ方を、知らないままに
1
土曜日の9時に止まった電車にも、呪いはするが、もう、散っている
0
空腹を埋めてくれない珈琲で流し込むのだ、明日の残業
3
「ぼくにしか できない歌が あるはずだ」 必死でキーを 叩いてる猿
1
行ってみたい。呪いのような定期区間  知らない駅とか向こう側とか
2
「餅食べて!」 今年が新たな気分で 始まる気がするよ
0
夕食の、メニューを決める午後三時  牡蠣フライとなり、ご機嫌の父。
0