逢わむ夜を思えば逢わむ飛ぶ鳥のはばたく夢につづく街の灯 〈あおばずく〉
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乗せられる。話に、あなたに、地下鉄に。 心地がいいね、身を任せるの
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逡巡に付き合う吾子は寝るまえに「歯がとれさう」と急に云い出し
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洗濯機壊れてわかるいにしえの労苦の上に生きてることを
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ワンピースかわいいけれどポロシャツの君がやっぱり一番好きだ
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水満ちてくるよう狭い前庭に背丈を伸ばすドクダミの群
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にじむ空 重なる不幸に ふで ふるへ  うたばかりの やぶれし心
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AIによる自動音声で」って その間きみは鼻くそほじるの?
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線香の 煙が揺れて 描く文字 きし二人へ 草書そうしょの手紙
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月涼し 私を救ってくれるのは 昭和歌謡とセブンスターだけ
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たまたまに人生で会う人々の想い出の影積み重なりて
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松そよぎ眼下に砕ける波頭 肩までじわる熱海の露天
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IDだパスワードだと小賢しい 癇癪おこし卓袱台返す
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はれにして、こころがおしまいはれにして、ぜんぶをすててむかえにもきて
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ひとさしゆびの下にある国にある家にいる中のひとりでしたね
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レシートのアイスクリームの値段見て意外と高くてつい二度見した
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微笑んで平気な顔して悪さして それでも二人なんとか幸せ
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ヨイショって 何をしたかったかというと しばらく間があく
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ヨイショって小さくかけごえかけて立つ 自虐じゃないよ れっつごーだよ
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もとよりも ゆくはてのなき こひのみち かへりもしらず ただゆくばかり
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夏めいて 薄手のシャツに 日傘持ち 電車に乗れば 季節戻って
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留守のに檸檬の若葉ぴゅんぴゅんとみなぎ生命いのちに励まされをり
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平日の昼下がり ホットスナックをかじる日々だけ続いたらいい\ほっとする午後
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春の夜 何故か暑いな もう夏だ
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セキュリティパッチのリリース:ぼくたちは感情演算装置の部品
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雨上がり梅の香りをすりぬけて空を切り裂く一羽のメジロ
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だれコイツ 一軍上がった 初打席 名刺代わりの 一発を打つ
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俺の部屋 君の好みで いいけども このカーテンは なんとかならん
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ごめんねと思いながらもぶつかるよ ドア前動かぬ無能どもめ
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華やいで はかなく散る花を余所よそに 晩春まで咲き誇る紫蘭シラン
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