なんとなく残り二十歳と設定しさあてこれから何しようかな
11
学研の付録に焦がれた鍵っ子の夢はち切れるアパートの二階
19
面を脱ぎ試合のあとに配られた薬缶のカルピス薄くて美味い
19
春がきたWBC大相撲 選抜楽しむ元気な老後
25
窓越しの春の日差しを浴びながら背後に咲くは恋バナの花
9
「あの件」と一行のみのメールには余白に語るにべもなし 恋
7
畳む日を 名残惜しむや 空仰ぎ 時はいたづら 時は綾なし
8
雪やこんこん あられやこんこん さっきからきみのマフラーくすぐったいな
10
雨上がり気温上昇 もやの中 再び春へ一直線の朝
17
ゆずりあい 言ってるヤツは ゆずらない ゆずってるとこ 見たことがない
5
食卓に ガラス細工の雛人形 ちらし寿司で 大人の雛まつり
34
風は勝手にぬるくなり目の奥をよごされて歪む春の陽光
7
揚げ麺に八宝菜をかけたもの 「皿うどん」とはたれが名付けし
20
あちこちに 葬儀屋看板 目に留まり 死もまた日常の中にある
15
忘れずにご苦労さんと呟けば迷惑メールひと休みかな
6
サブスクのようだね、多分僕たちは 日々のくらしを課金にかへて
18
薮睨む前髪越しに春北斗ポケットの中ぐうを握る
10
咲き初めし辛夷こぶしふるえる春寒に園より流るひな祭りの歌
36
ひ孫見ず逝きし父の姿かたちなり 息子の背中 桃の節句に
23
「思し召し 聞こし召し」 お布施は文化 新興宗教拝金主義
8
広告の 桜 旅立ち おめでとう 明るき文言弥生に踊る
43
格好つけ 苦きコーヒー飲み干した 十五の頃が甘く蘇へる
26
関東は何やら雪が降るようで 降ってないって?まぁ、気をつけて
6
弁当の二時間近くの遅れにも文句をいわぬは男じゃないか
8
部屋のすみ加湿器のイルミ変わる色慰霊の母は癒をもらえと
6
嫌なヤツは 顔も名前も 忘れちゃう 向こうはそうでも なさそうだけど
5
午年は六十九になるけれど三十九の食欲ありて
10
半返しの小さきノートに願い事流星流れ叶いしねがい
7
愛おしきレモンの日々は遠くなり淡い香りの名残惜しさよ
11
明日を待つ春雨の日の夜は長く冬の香りを懐かしみけり
17