雨雲が不穏をよびそう ざわざわと 背筋伸ばして口角上げて
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レンコンの穴を残して齧るわざ人生似たり無理難題よ
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買い物で余計な甘い物買って買わなきゃいけない物は忘れる
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戦死せし弟のため「○ばかり」笠置シヅ子は涙を流して
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栄養を補給したくて立ち寄りし半年ぶりの本屋閉店
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おたがひの足音のみを聞いてをり話の接ぎ穂見つからぬまま
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六甲山は 一足早い冬支度 小学校にて ストーブ火入れ>霜降
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ホッ豆乳ココアを淹れて リラックス 日にち今日まで 木の実のタルト
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明け方 トイレに起きる 先客の君 息があってきた われに言う朝
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右に杖 左にキャリー引きながら 小雨降るなか裁判所へと
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吾を見る琥珀色のまんまるで キミはいつでも勇気をくれる/神社の白猫
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傘寿なり 我が人生を顧みて 平穏の今 感謝あるのみ
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秋晴れに子ども二人とピクニック笑って頬張るいつものおにぎり
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その日見たバッタの種類と大きさを 毎日報告ありがとさん
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風の子と言えど上着はいるかしら秋は悩まし吾子の服装
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ひとひとりひととりとれりひととりとりひとひとりとなれりひとおし
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無言なのは美味しいことと解釈し 朝に晩にと食事を作る
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車には敢えて乗らずに傘さして 君と並んで歩いてみようか
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「うわっ!くさい」 しかめる妻の横顔を 今年も見たよ 金木犀よ
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「あるある」が妙に人気の世の中で ないないづくしの人生送る
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ネットとは 悪が世界に 蔓延りて 雁字搦めで 滅びる手段
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子供らが 悪に染まれば 将来は 社会全体 刑務所の中
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長袖を着たが暑くて半袖に着替えるまるで舞台の早着替えのよう
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闇バイト 携帯電話 渡すから やくざの子分 少年部隊
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バイトでも やっていけるな 児童館 母さんたちは 藁をも掴む
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青春はあっという間で朱夏長し気づけば白秋玄冬目前
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人生に裏技無しという娘不器用上等不器用ばんざい
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十月も末に豚しゃぶサラダする だって下手すりゃ真夏日寸前
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やりとりの言葉の機微で作られた日々の生活重ね晩年
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故郷の空気に吾の細胞はすぐに応えて一つになりぬ
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