十四年 辛苦抱えし 人々に 光の差す日 来るを祈れり
22
今朝は雨 季節が進む 着実に 地軸のずれは 本当だった
6
コチコチと 静かな部屋の 秒針の音だけを聴き 眠れぬ夜は
29
遠友に 次の来訪 尋ねけり それにつけても 早期復興
5
姪っ子の結婚迎え寂しくも願うは桃の夭夭ようようたらん
11
終点で車掌に起こされ飛び起きる車掌もたまげて後ろへ下がる
16
杖つきつ施設の妹見舞う姉に車椅子より怪訝な妹
19
みづからのうちよりあふれくるものに苦しんでいるあなたは詩人
10
同時代 同じ日本で起きたこと 二万に近い同胞の死は
17
あと五分 微睡まどろむ中で 感じたる ベッドの下で 寝ていた君を
16
あの時は和歌山にいた私さえ どすんと感じた巨大な槌を
20
としつきに かさねかさねて いたみては はるけきうみに けふあめのふる
22
家ありし瓦礫の山に立ちつくす声なき吾に雪吹きつけぬ(2011.3.11を偲び)
19
朝起きて 今日も元気に動きだす 空元気でも カラッと元気!
11
早起きの春に支払う三文は 神酒と祈りと朝摘みの花
17
桜待つ、待てど来ぬ君、いつの世も、想い届かぬ春の夕暮れ。
9
原発に依存してゆくジレンマのけふの電気をしずかにつける
15
それぞれの震災あとを見つめをりたかが記念日されど記念日
14
電柱がはげしく揺れて空暗く十四時四十六分のけふ
10
おすすめを聞けば世界は広がつてまだ知らぬ味聴きなおす歌
9
生き様というほどでない日々のこといつか来る日の心の糧に
10
靴箱に遠く置かれた右左 最近やっとお隣どおし
11
散る梅は地にひしがれて空見てた 大震災の地獄のあの日
27
朝ぼやけ 重いまぶたをこすりつつ 今日も短歌を ながめよむなり
12
岸辺にて鳥の案内読みをれば横に人立ち時の挨拶
38
弥生月 鉛色した雪雲に 震災の記憶蘇りをり 
26
もう眠い目の裏側に朝くらい明るいスマホの光が溜まる
10
春の陽さしぬくき日なりけり冠雪に枝折れし蝋梅に二輪かがやく
9
春うらら 今日は上着も置いてきて 口ずさんでるキャンディーズ
14
米値上げ パスタ・焼きそば出すけれど 一日二回はご飯が食べたい
15