どの街も夜景だけなら美しく見えるだろうねそれだけのこと
1
なにを見てなにをしてても足りてない気がするそれはそも己のせい
1
二時間もあればわたしもエイリアン スクリーン越しの宇宙へ還る
0
きみじゃなく嫌いなやつに乱されるそんな神経落としてしまえ
1
早生の蜜柑の皮を破って香り満つ 今から私は生まれ変わって
4
シナモンの香りをまとう赤い鳥 ぶどう畑の夕陽に消えた
1
だいじょうぶ だいじょうぶよ、と 言ってやる そのためだけに 僕は歩ける
1
もう僕は 歌もさえずれないけれど この羽ばたきが 風となれば、と
2
溢れ出る梨のしずくを受け止めるには半袖の肘でなければ
3
奥へゆくほどに濃くなる古書店の匂いに本の樹海を惑う
13
みてごらんひつじがたくさんいるからと君が指さす先には白雲
10
通知画面よりも明るくまたたいた心を君よ 知らないだろう
2
秋暑き昨日までは「クーラー」と今日は「散歩」で汗かけぬける
2
まばたきの速さで何を考えているのかわかる はるか向こうで
0
炭酸水の泡に生まれ変わってはじけて消えたい秋の静けさ
4
この世界でのルールでは人格は体一個に一人だという
1
ピアノ線を張るのはやがて滑り失せてしまう山をき留めるため
4
常温で流し込むストロングゼロストロングゼロストロングゼロ
2
ウィンドウを開けばここは一面のみっくみっくに土砂降りの星
0
死ぬ予定しかない犬である我ら舌を垂らして都市をうろつく
1
「あぁそうか、今年もあと〇ヶ月だね」だけ繰り返し終わる人生
2
静けさの結界いっしゅん解くように咳払いする展示室B
7
一人居の祖父の裏庭わっさりと今年も葡萄ずっといきてて
8
まるい虹かかればみんなペンを置き窓に集まる子供の目をして
8
ふて寝するきみの毛皮いぶされて腹をもふれば除虫菊の香
1
シマシマのチェックスカート座布団の上でゆるゆる座り居る客
3
失った生身の影を探しつつ人格データのさまよう未来
1
目薬をしてぼやけた街の灯とスマホの光はどちらが遥か
0
秋空の青と物干し竿の青どちらが青いか比べて背伸び
1
サークルのトレーナー君に着せた日と同じ寒さの鴨川の秋
0