本当は木星行きかも知れないが会社行かなきゃ、ここで降ります
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大晦日 『ウコンの力』買っていく中年たちの列に加わる
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砂浜を革靴履いて走ってた夏の日、止まったままの平成
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瀞峡に河童や出でよ 罷りたさ 屏風岩から滝の噴くまで
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初夢に見たかったのは君の顔 微笑む君を見たかったのに
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喧騒の街も 暮らしのともしびも 結び目得たり 初春はつはるの日に
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ひと巡り東の空からやつてくるおはやうございますの一年
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豪雪ごうせつの夜 轟々ごうごうと除雪機が通る 爛々らんらん だいだい
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正月は着なれぬ着物を巻き付けて旅行するのが家の習わし
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新しき年の始めに君想う 風邪などひいていないだろうか
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理解より受容によって結ばれる 傷つけ合って僕らは知った
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紅白の 根菜などを 細やかに 細やかに切る 初春はつはるのため
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病院で注射怖がる子どもらが泣いて世界に抗議している
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伝えずにいればよかった言葉達 思い返してまとめてクシャリ
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大晦日 終わりに二〇一八年ぼく去年こぞとなる さらばだ二〇一九年きみよ 後は任せた
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いつだって仕事をしてる君を見て怪我しないでと願うばかりで
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わたしたち神を殺した世に生まれ電波の高さに縛られ続けて
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君のこといつも視線で追ってたら仕草が少し君に似てきた
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懐かしも流行はやも嘘も鼻歌も どんな音色も故郷に染まるの
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こたつ中うつぶせになりスマホいじるここから始まる夢の世界を
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ふくらかに 匂へる 風呂場に置きたりし 柚子の 徐々に腐りたるを
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何をして食っていこうと思った日夢もみないで朝が来ていた
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わがままさ 気づかせたのは父の金 なんであんなに甘やかしたの
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横になり自分の尻を触り手を暖められるが冬のぬくもり
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斬れぬとは 死んだことと同じこと 戦の終は 私の終わり
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ベッドにて眠れぬ夜のグラスへと注いではまた過ぎゆく酔いよ
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少しずつ「私」を僕は創りたい 途上で出会う一瞬の友
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こうべ垂れ 「良いお年を」と改札を越す波はを押し流しゆく
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おにぎりも食べた気がしない夕方に冬に備えて肥えるの尻
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あの人に愛されたいと思う前に私が愛していたいと思う
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