振り向けば なんてこと無い あぜ道だ 雨になるのか 入道雲よ
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君のいる町はそろそろ秋ですか おなかを出して寝ていませんか
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学び舎の蒅すくもに浮かぶ藍の華恩師懐かし爪の止紺
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好かれてると思ってたけど勘違いみたいだ石を蹴り蹴り帰る
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秋の日は釣瓶落として言うけれど釣瓶もなければ遊ぶ子も見ぬ
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秋なのに秋刀魚も鰯も喰えぬとはせめて茄でも嫁に喰わせむ
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爪先に わたしごときがそんなにも 綺麗な色を塗ってもいいの……?
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君こそが夜空の真の一等星と君自身さえ知らなくていい
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言葉さえ 仲間がいるのに僕はもう なあどう思う、類語辞典よ
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鮮烈に 君を思えば 夏の色 日焼けの肌に 染みる恋かな
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昨日まで 君がいたんだと 雄弁な 無音に染まる 夏の葬列
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綿織りの硬い触りのワンピース 風になびかず堂々行こう
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秋が来て涼しくなったと思ったら握った君の手その熱いこと
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「愛してる」「愛しています」……足りないね 三十一文字はあまりに遠く
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放課後に君のスマホが震えてた 急く指先は誰のためなの
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踏切を正しく通る電車だし天気雨だって休憩中
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瘡蓋のゆびざわりにあぁこれはって小松菜の ミ ド リ ガ ヒ カ ル
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凸凹な背骨をなぞる夏の夜 博物館に飾られるかも
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こうこうと太陽光のルームライトを午後休に点けていくのだ
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絶望のにおいと味を知っているあなたは泣くべきところでわらう
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冬の朝 お米を研いで君を想う 研がれて君も、きれいになった
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恋知らぬ 君でいてと 父願う 規則正しき  寝息を聞いて
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定位置がであるならば君はYという枝で易々と解くのだ
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「願い事ばかりが切ない」と歌う唄 願いと妬みばかりの自分
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あれも嫌これも嫌ではこの国を生きてはゆけぬ30歳児
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欲しいのはあなたの全てだったのに。欠片のような口癖、仕草
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ねこを見て「ねこだ」と思う君がいて そんな世界で生きていきたい
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恋情が俺の世界を飛び越える すぐに行くからそこで待ってて
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昼日中あっけらかんとしたもので歯の詰め物が取れて青空
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この街で生きてみたくて諦めた花の香りも忘れそうです
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