時刻む 砂一粒のきらめきに 積もるる日々は 確かなりけり
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然ればこそ 天の高さを人は知る 独り歩める影を伴ひ
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剥がされた仮面の色は何処へ行く 思い出せずに今日はネイビー
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生きてきた 時間の方が 長くなり 愛も恋も  砂の如く落ち
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白鷺しらさぎ蜻蛉とんぼ番井つがいで飛び去りぬ 我は独りで歩む秋空
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夜裂いて天から地に落つ束ひとつ稲はごそめきつまを迎える
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百四十字の声が入る封筒ありふれた真白のテキストボックスに 写真一葉今日の昼食のみ添え送る天邪鬼だから「さえずれ」と言われても鳴かず飛ばずで過ごしています
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ふぅっと吐息を離してそそとつく唇に熱々ブレンドを
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極めたき道はあまりに限りなく 残されし時あまりにわずか
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どろどろど(肉が溶けゆく)ろどろどろ 液状でも愛してくれる?
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美しい短歌を壊す仕事です 余分な文字を注ぎこむだけ
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秋夜空、雨粒流る機窓から何光年もの天体を知る
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ほんとうはだれがあの子を殺したの?「それはわたし」と鏡がうたう
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段登る 見えない鳥居 後ろすら振り返れずに抜かされていく
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地を見つめ 血まみれナイフ離せない 空の青さが嘲笑う日よ
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欠点を一つ二つと数えても 月は二十九日は欠けている
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日常の酷く陳腐な言葉さえ 5日ぶりなら心に染みる
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体温計こめかみに当てルーレット 「36℃」まだまだ死ねない
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気づいたね 影が延びきる その前に 一瞬で永遠を手にいれる
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ぼくたちは秋に生まれた 干し草に仰向けなれば懐かしい空
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カレンダー残り四枚病院で眠る祖父の細い手を思う
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飽きるまで 落ち込んだから 大丈夫 髪も切ったし 次に進もう
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彼岸にも墓参りせずゴロ寝してお萩だけ食べ太り吾おり
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ふと顔を取り戻して居、原初たるスープの泡より生まれ、われらは
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ガキの頃 ひどい音痴と 笑われた 吾いまもなお 歌と生きてる
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気づいてる 気持ちに知らないふりしてる 恋の醍醐味 秋空の下
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波風にかたち消えゆく時もあり たださもありなめる泡沫を
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偶像アイコンを失くした僕ら もういっそ名も泡沫に溶かしてみようか
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痛くないけれどここにはいたくない(お家に帰るまでが戦争)
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「短歌やるヤツはメンヘラ」そのセリフ上の句に入れ詠んでやります
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