サルビアは恋などしてもしなくても夢など見てもみなくとも 紅
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わたしよりすこし不幸でいてくれる間はやさしくしてあげますね
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UFOが海に沈んでゆく側で静かに茂る名のない草木
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隕石が落ちてくるから明日まで生きてみようと思えたんです
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この街の郵便局の片隅に宛先のないパフェがひとつ
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国道に赤いブラジャー舞い降りて軽自動車が器用に避ける
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誰ひとり傷つけないで生きていた人だけ行ける天国はから
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夏過ぎて 見慣れたはずの 教室の  誰かが違う 秘められた事
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月に二度 結婚祝いを贈る身の 周回遅れ 何周遅れ
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ふるさとの百葉箱の神様へ。 風がそちらへ向かうようです。
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遠い日を たぐり寄せる その午後 金木犀の 魔法にかかって
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こんなにも 君との別れ 辛いから 取り憑いちゃお お化けになって
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かちゃかちゃと鳴る化粧品の音でふと母にじゃれてたあの日へ帰る
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持たされたスイッチがなにをこわすのか知らないままで押した水曜
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アンケート『あなたは文字が読めますか?』 渡された紙を眺めるおとな
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どうしようもないほどには欲しかった 君のたったの45
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受賞した展覧会の絵を燃やす 赤に飲まれるバーナーの青火
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「恋」という 熱病やまいを治す特効薬くすりなし つらく 苦しく 身悶えるだけ
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長月と競い伸びゆく爪と髪 気付けば俺は狼男
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ちっぽけなほど良いこともあるのだと マンデルブロの銀河は語る
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良いわけがないと無作法に髪をほどいて後悔の着地を探し。
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唇を好きなかたちに染めていく私の生き様塗り重ねてく
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自販機を過ぎていく背に花束と無縁の影が取り残されて
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病中の夫の昼のおにぎりに 代返頼んで列車飛び乗る
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大切にしていた星が砕け散りきみの背骨を覆い隠した
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棘のない柊の葉が眠るころ 白い小花は赤く静かに
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夕焼けが合図なんだねとんぼたち 山へ帰るの すすきは寂しい
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指丸め のぞくと淡い月があり心は銀河を旅する秋の夜
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太陽のような君には分からない僕の目からは雨が降ること
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とうめいのガラスに閉じた大自然美しくあれせめてここでは
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