家を出る理由がひとつも見つからない 猫の咀嚼音に勝つものはあるか
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いつの間に 桜は散って 芝伸びる 十五の春も ただ無為に過ぎ
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雨で全部が流れてもとに戻れとたらればの願い
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‪ウインナー、海苔、葡萄、大人になってその価値を知る食卓だった‬
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‪原付で往復二時間通院をした後かじるプロテインバー‬
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手元まで映らないから手遊びに分解される文房具たち
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「どこですか。あなたの彼氏の好きなとこ。」「その質問をしてこないこと。」
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君の住む変な名前のアパートが心の底から愛おしかった
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自由とは事実を曲げずに言えること自分自身の言動を見る
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三年間あの砂を浴びるためにやってきたんだほつれたユニフォーム
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桃色に濃いあなたの頬に手を伸べた。思っていたよりひんやりしていた。
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君の顔を見ていたいけど照れるから車窓にうつる横顔がいい
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水性画をにじませながら考える一番泣いたあの日のことを
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‪ひとりではいたくないけどふたりでもいたくないのであっち向いてて‬
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さよならが機能している街角で恋人たちは振り返らない
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原罪と 言われてみても 実感なし 生きてることは 罪じゃ無いだろ?
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手のひらのうへにのせたるしろたへの豆腐すずしき夏は来たりぬ
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学生街 去る日に見かけたあの人は 最初の夏まで友達だった
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‪これからもアイスの溶けない距離にいて 甘噛みされた耳に疼痛‬
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言葉とは孤独にならぬ術のこと自分以外の人にも同じに
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マクラーレン そのセクシーな ボディさえ 眩しいオレンジ 張りゆくマリーナ
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化粧箱入りのイチゴがあるからさ、うちにおいでよ君が好きだよ 
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ビル群へ 歩みを進める 社会人ゾンビたち 失わないで その輝き希望
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背伸びして 頼んだジンの 苦味とか 甘味や雑味 丈に合わない
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世界をゆっくりとあじわうこと 風を感じるBlowin' in the Wind 君に見惚みとれる etc.
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シャボン玉捨子の私の時代にも 死の前日に父が救えり
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一晩中呑んで迎えた朝方にこっそり語ったふたりの本音
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夢の世にすめばなつかし夏木立こずゑの鳥のさへづりの声
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愛すべき 人がそこには いつだって いてくれるのに 満たされない
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いくつかの台風のあと町を出る 行きがかり上恋しただけだ
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