柴田 瞳    フォロー 0 フォロワー 1 投稿数 22

同人誌や商業誌に掲載した歌から直近の歌まで、新旧ごちゃまぜで投稿します。noteでエッセイや小説も書いてるよー。

さよならが機能している街角で恋人たちは振り返らない 

‪これからもアイスの溶けない距離にいて 甘噛みされた耳に疼痛‬ 

いくつかの台風のあと町を出る 行きがかり上恋しただけだ 

フレットを押さえるような自然さで約束交わす夜の講堂 

竿先に魚信微かにあるように予感はいつも揺らめきながら  

シャガールの絵画のようにふりむいて変な角度で口づけられる 

ほめられた服は忘れずボストンに詰める小さく小さく折って 

旺盛に僕は生きるよジェラートをそそり立たせる銀色のヘラ 

明け方の産業道路 ああもっと動体視力をつけなくちゃだめ 

アイロンの余熱でプレスするように少し続いた逢瀬を思う 

責めたこと責められているキッチンで小さな鍋が集めるひかり 

好きになりかけて忘れる途中まで溜めたスタンプカードのように 

ぴっちりとマスクを着けて眺めれば自粛できない若葉が萌える 

五月にもなれば誰かの熱を知る最後にあなたが褒めた指先 

眠らない世界の果ての図書館で甘いゼリーを啜っていたい 

耳元でわーわーわーと叫んでよきみをどろりと忘れた朝に 

でもいつかニトリの三徳包丁で刺し違えるわ遠い窓辺で 

底辺でわかりあえたら嬉しくて放恣な姿さらしてねむる 

後ろから修飾されてフランス語みたい 恋人、自由な、初夏の 

膀胱炎になってもいいからこの人の隣りを今は離れたくない 

この電車に一人くらいはいるだろう今日誕生日の人おめでとう 

つないだ手いつか手錠に変わってもいいと思っている月の下