田舎の呼吸 感じてみたなら 癖が濃かった
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都会の息 吸い込んでみたら 味がなかった
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酸素自体 味がしないのは 世の常で それでもあたしは 甘味感じたい
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安らかに 眠りたいだけど 付け焼き刃 心は一生 眠ることはない
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春の夜に羽織る上着に思い出す幼き頃の母のまなざし
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本編が 始まる瞬間暗闇の 四隅が広がるあの没入感
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「人よりも猫を産みたい」幼子の写真に飽いて賛辞も尽きて
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アイロンの余熱でプレスするように少し続いた逢瀬を思う
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責めたこと責められているキッチンで小さな鍋が集めるひかり
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‪幸せになりたい手づかみで食べるナスのマリネのしみるささくれ‬
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両親の愛の玩具オモチャと生まれぬる子の人生の哀れなるかな
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好きになりかけて忘れる途中まで溜めたスタンプカードのように
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ぴっちりとマスクを着けて眺めれば自粛できない若葉が萌える
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五月にもなれば誰かの熱を知る最後にあなたが褒めた指先
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そそくさと 部屋出る誰か 見なくても 案外誰か わかるものです
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‪意味はなくとも生きるのだ牛乳で割った珈琲一気飲みする‬
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最近は 歌を短歌に 縮めたい 二番煎じ 上等じゃこら
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あるのかな 手に入るかも 隣の芝 乱れた髪に 触れられないなら
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眠らない世界の果ての図書館で甘いゼリーを啜っていたい
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耳元でわーわーわーと叫んでよきみをどろりと忘れた朝に
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でもいつかニトリの三徳包丁で刺し違えるわ遠い窓辺で
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底辺でわかりあえたら嬉しくて放恣な姿さらしてねむる
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やれること 何だってやる 賭け狂い たった一人の クイーンだもの
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後ろから修飾されてフランス語みたい 恋人、自由な、初夏の
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膀胱炎になってもいいからこの人の隣りを今は離れたくない
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この電車に一人くらいはいるだろう今日誕生日の人おめでとう
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つないだ手いつか手錠に変わってもいいと思っている月の下
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巣ごもりの子らにあけくれいひかしぐさみしきわざをわれはするかな
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両思い君の笑顔だけ思いける 我は待つなり再会する日まで
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疲れても見知らぬハート知らぬ間に届き心にぬくもり灯す
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