蜂蜜を舐めて胡蝶を演じますですから早く目を醒まさせて
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大惨事 原因はあの脇役の気弱な男 あれも私だ
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耳鳴りに腐れ茸の崩れ落つ音を聴いたよ 世は儚いね
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此処でない何処かの希求と渇望は驟雨の如く形を持たず
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どうしよう浸透圧に耐え兼ねて世界と己 統合したら
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浴槽で目蓋を下ろして馳せるのはさも得意げなカラカラの顔
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考えの根もとの横のわき道におまえがぢっと息づいている
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願いごと:貴方みたいになりたい の活断層がずれては呻く
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人により造られしゆゑ人に似て鬼ら佇むホームの向かひ
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君が好きたった五文字がいえなくて消しては打ってまた朝が来る
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炎天の坂のぼりきて星祭り振り返らむとひとりきりかな
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離れると決まればいとおし 故郷の荒れも果てたる人と土地さえ
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クマゼミは死に物狂いで夏知らせ狂えぬ僕は少しだけ泣く
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網戸にて 高らかに鳴く クマゼミは 森の蝉群オーケストラを 率いるソリスト
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どうせなら 善いことをして 終わりたい 毒を蒔いたら 痛々しくて
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追い出され 排除されても 仕方なし 自由に生きる 代償ならば
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悲しみを ぶつけてみても 癒されず 呪ってみても 呪われるだけ
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罪多き 人生全て 思い出し 救われぬなら 痛々しくも
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争いを 夢の中まで 見るようじゃ 睡眠不足 半端じゃねえな
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いじければ 己の招いた 事の故 このなることも 致し方なし
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妻さえも 愛することが 出来なくて 余生も何も 望みもなくて
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老人の 生に対する 執着も 傍から見れば 痛々しいよ
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人間の 愚かさ故の 結末を 一言で言う 痛々しいと
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細やかな 願いもすでに 却下され それでも生きる 痛々しいが
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こんな深い夜は空気も眠るからたった二階の地上で溺れる
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汗の垂れだれもかれもが皆いずれ真夏に燃ゆる墓に祈りし
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熱中の枝葉のなかに潜みたる水さえ捧ぐ夜見の砂漠
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夏蝉のこころは夜に残されて アスファルト鳴るカラカラと鳴る
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爪弾いた音色を辿る声ふたつ まだいかないで台風前夜
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みづからを見返すことのみ難くして眼は水底の波などを見つ
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