夏越してもはや晩秋みたいだね いや気温じゃない、この関係が
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いつもより寝癖が目立つきみが今日拾ってきた何かしらのたまご
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今日は寒いけど家のなかはあったかい 深夜に舐めるラムレーズン味
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君の「自分が一番かわいい」という無謀な自信こそがかわいいと思う
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意識なき人も人なら陽に揺れるあの葉もある程度は人らしい
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信号の待ち時間にジリジリと 陽炎の音は 夏のスターター
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「さようなら」上手く言えない子どもらの「また明日」って生な約束
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「ほんとうの愛とであえば分かるわよ」あなたはほんとに分かっているの?
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風も木も自然はすべて感情の器になった詩人の瞳には
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つまさきからはじめて海を知るきみの港になりたくて手をつなぐ
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瓶に挿す名もない花がこの町で最初に看取る生き物になる
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部屋の片隅の 埃のような 言葉なんて いつだって無力な ものでしかない
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1999年 世界はお祭り 騒ぎだった 結局何も 変わらなかった
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誰も行かない 屋上へ続く ゲートは 閉ざされてるけど 上るしかない
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雨の日に何もしたくなくなるのは、やる気が水に溶けやすいから
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くたびれた日だけど床に脱ぎ捨てたズボンは明日へ駈けたがってる
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花束を手繰たぐ、幸せはここにある ライラックはあおあざやかな藍
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貴婦人も汽車も艦にも触れるとき白手袋を着けるが嗜み
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首都高を独り占めして歩きたい 終末時計はもう午前2
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六畳間 フローリングに敷布団 世界の果ての見慣れた景色
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五月晴れには程遠い散歩道つつじの色に慰むる昼
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ニュースには茶を摘む人ら新緑グリーンをこぼさず集め八十八夜ファーストフラッシュ
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誰も居ぬ茶畑にも日燦々と降り注ぐ昼八十八夜
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春を告ぐ 気持ち隠して春を告ぐ 「いける気がした」 それは悪だよ
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午前五時壁に光がカーテンの形になって、ただ揺れるだけ
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東風そよぎ 夜空の幕が揺れる度眠り誘うは 蛙の調
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「まだ話そう」そういうきみを置いていく 名残惜しさが増えるだけだから
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午前二時 下品なラジオネームにもいたんだろうな初恋の人
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「それ嘘でしょ、でも素敵な嘘ね」 去り際 忘れられない彼女の笑顔
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ただ生きていくことだけでつらいのに 君を愛するだなんて、とても
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