不愉快にも ぬかるみに残る 足跡は すぐに誰かに 踏み均らされる
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たんぽぽの綿毛がひとつ飛んでると「ほんとに飛ぶんだ」って思う
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ああもっと聞いておいたら良かったな眠い授業も貴方の声も
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さよならと手を振るように運ばれるアゲハが空に揺らしてる翅
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窓辺には名前のしらない花がありあなたの好きな花と名付ける
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先斗町ひしめく瓦の軒下に 子供 カップル ファミリー シニア
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酔えるならそれでいいじゃん安い酒 悪い男もきっとおんなじ
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高尾山春の霰にぶち当たり車の窓は固く閉じける
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2リットルのアイスをひとりで平らげて堕ちるほど甘い「おしまい」を乞う
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担任の屍を焚べ暖をとる君と同じクラスで良かった
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本当の春も分からず液晶で気温を見てはコートを羽織る
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月影のつつじの道の尽きる頃ひときわ匂う薔薇の咲く家
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一つずつ星に成り行く だあれにも見つからなかった三一字
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この情動 名ばかりの音となる前に 君を震わす音楽となれ
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滅亡は過程を考えるにつれて救いっぽさがなくなっていく
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牙・痛み・素肌・遠吠え・子供・くらやみ・人には戻れないわたし
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デパ地下のショーケースに問い詰められる 母は何が好きなんだっけ
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リスニング案外得意かもしれない(※ 歯磨き中の君限定)
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接続された世界がスクリーン越しに再演する20世紀
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会堂が装ったような赤じゅうたん ふたりが歩く式場となる
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君が生きていてくれること それだけが ただそれだけが、僕の幸福
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大人しく寝ているだけの日曜日 世界平和に貢献してる
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春。山に 呼ばれて野生化した姉は ご飯を一口分だけ残す
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大切にすればするほど穴が空く さよならなんかで片付けないで
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ほんとはさ、本物なんて怖いから 偽物だって愛されるから
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まだ治したくない傷もあっていい今日も痛いね生きていかなきゃ
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脇目もふらず走り来たのに横に咲くのはありふれたヒメジョオン
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無神論者なので創造主ではなく所詮は人を責めるしかない
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悲しみをリンゴとともにすりおろしレタスに和える春は青空
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路地裏に光が射してこの夏は「ぼく」という名の冒険がある
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