不機嫌が続く私に不器用な君が選んだ三つのケーキ
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引き千切れ引き千切れこころカサカサと鳴るはずが水かぶり重く
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ごめんね、目を離したら消えてしまう気がして君をここに埋めたの
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触れていて 抱きしめないで 分かってる 見えてないんだ、ほんとは何も
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脆すぎて 今にもがらがら 崩れそう 意思と理性と 化粧と一緒に
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「もう一度触れてください」、改札の声に物語を見てしまう
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日射やは涼風すずかぜかせ苦悶くるしめものらをたすけにひとのため
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つみあらばゆるたまひてけつあるくるしみゆりそすくたまはね
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『憧れる』その感情を 軽んずるな 『こがれる』って字が 入ってんだろが
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「やさしさに容赦なんかはいりません」誤訳と気付くがそのままにする
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冷凍の焼きおにぎりを温める 生理で唯一出来るお料理
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洗われぬ食器が居座るシンクを見 殺してやるとこぼした今日も
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気持ちだけもらっておくよ 君と僕混ぜるな危険と書いてあるでしょう
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小暑過ぎ英語のワーク脇挟みこのようにして君を抱きたい
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死にたさは無色透明 水のごと我の身体の隅まで染みゆく
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心労のしんしんと降る十一時濡れた寝床ですこしだけ伏す
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君と僕 あまりに違いすぎていて オレンジにも時計にもなれやしない
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あの道に咲く紫陽花も忘れてた ごめん、もうすぐ夏が始まる
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黒見上げ 瞳の中に 咲いた花 ﹁きれい﹂だなんて あなたの方が
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さよならを 告げた唇 その本意 君のことずっと 好きでいたいから
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誰よりも お互い都合が 良いはずで それはいつしか 会う口実で
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「お前は誰?」 毎日鏡に問い続ける 案外すんなり 教えてくれたよ
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もしある日 何かの拍子に 気がふれて 君を嫌いになったらどうしよ
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朝が来て 光を浴びたら 焼けてしまう もしや私は みみずなのでは
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神さまの ブログが更新されるたび “その日”が来ないか びくびくしてる
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新しい掃除機欲しさに夢に出るあれはどこ製おいくらですか
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従兄弟より ちょっと遠い 親戚の お兄ちゃんみたいなあなたが好き
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まぶしくて ただそれだけで 苦しいのに ちょっとさびしそうに笑わないで
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大丈夫私はあなたが思うほど不幸じゃないわだからさよなら
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笑顔とか声の張りとかそんなものいつでも正すいくらでも狂う
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